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78 SATの英語のための勉強法は?(1) 多読がカギ
対策は、大量に読むことから。
アメリカの大学の進路指導を担当する校長先生から、娘が言われたのはこうでした。
「SATの英語は、とにかく本を読むことだよ。
それも文学から科学まで、いろんなジャンルを読んでおきなさい。
図書室にある英語の本や雑誌を、とにかく片っ端から読んでいくといいよ。」
と、これだけ。
「え、読むだけ? そんなもん?? なんで???」
と当時まだSATの内容をよく知らなかった私は、再び「?」だらけでした。
私たち普通の日本人としては、英語の試験勉強というと、やっぱり参考書を使って内容や問題の傾向を学んだり、問題集を解いたり、単語帳で単語を覚えたりじゃないですか。
でも、SATの英語に一番必要なのは、そういうことじゃないんです。
それ以前の、英文を大量に読むこと。
文学の素地や幅広い知識、これがカギになってきます。
そう言われてみれば、娘が中学に入った時のハーバード大学&大学院卒の英語の先生の授業の主軸は、とにかく本を読むことでした。
本人のレベルに応じて、1冊終わったら次、終わったらまた次と本を与えられて、ひたすら読み続ける。
日本の学校でも読書指導などはありますが、メインの授業でただただ読むって、ほんとにこれでいいの?って 不思議でしたが、それでよかったんです。
(もちろん、授業のすべてが読むことだけとか、読んで終わりじゃありません)
娘の場合、最初はネイティブの小学生レベルの「赤毛のアン」や「あしながおじさん」から始まりましたが、中学1年の終わりにはカミュの「変身」などを読むようになっていて。
学校でも家でも読むうちに、娘なりのペースで英文を読むことに慣れ、読解力がつくとともに英語の洗練された単語や文章というのが、少しずつ体に入っていっていました。
また、授業で個別に読むことで、他の子が何を読んでいるかというのも刺激になって、「自分もああいうのが読めるぐらいになりたい」と競争心を煽られたのもよかったようです。
読む場所は寝転がってもソファーでも、教室でも外でも、どこでもいい。
毎時間ではないけど、読んでいる間に先生がココアなど作ってくれたりしたのも、読書嫌いにならないためにいい方法だったんじゃないかと思います。
英語の時間は、好きな場所で本を読みながらココアが飲めると。(笑)
そうやって、文字を読むのが苦手な娘が楽しみながら、目標を持って読むことができ、少しずつですが読む力がついていきました。
リーディングはライティングの土台。
英文が体に入ることで、単語や文法などを特別に勉強しなくても、英語の文章とはどういうものかがわかり、ライティングの土台になります。
読むもののレベルが高くなるほど、難しい単語も自然に文脈とともに覚えていく。
SATのライティングとは、実際に文章を書くわけではなく、前回書いたように、文法的に正確な文章を書く力を見るものです。
句読点をどう使うか、接続詞の正しい使い方など、前後の文脈から見て判断するには、問題集でパターンを勉強するより、本をたくさん読んでいれば自然にすぐわかってしまう。
日本人でも、本や新聞を読んでいる人ほど国語は自然にでき、いい文章がすらすら書けますよね。
国語の問題集をどれだけやるか、難しい熟語をどれだけ暗記するかより、日頃から一流の文筆家が書く文章をたくさん読んでおけばいいわけです。
しかもこの読書量の如何が、大量の問題を素早く解かなければいけないSATでは、ダイレクトに影響することになります。