5 「ハーバード白熱教室」で、アメリカの大学に目覚める。
娘が小学校2年生になった頃、Eテレで「ハーバード白熱教室」という番組が始まりました。
いったいどういう番組なんだろうと興味があったので、1回目、2回目と見てみることに。
ご存知のように、ハーバード大学のマイケル・サンデル教授の授業をそのまま収録したもので、大きなホールのような階段式の教室で、教授といろいろな人種の大勢の学生たちが、マイクを持って自由に議論を戦わせます。
「アメリカの大学ってこういう授業なんだ。
さすがハーバード、教授も学生もすごいな〜。」
と圧倒されました。
2回目に見ていた時だったか、横で遊んでいた娘が
「この学校、何?」
と聞くので、
「ハーバード大学っていうアメリカの大学なんだよ。」
と答えました。
「ふうん。」
そしてまたしばらく見ていた後、娘が言ったんです。
「〇〇ちゃん、この学校行きたい。」
「いやいや、行きたいって言って行けるようなところじゃないよ?」
と説明したんですが、娘は
「でも、この学校行きたい。」
そして、その後も同じことを言い続けます。
いったい、どういう意味で言ってるんだろう?
え、そもそも大学って何かわかってるの??
「大学っていうのはね・・・」
などと説明しましたが、それでも娘は変わらず
「あの学校行きたい。」
を繰り返しました。
大きくなってから、なぜそう思ったのか聞くと、
「先生といろんな国の生徒が対等に議論してるのが、すごくかっこよかったから。
自分もその中に入りたいと思った。」
んだそうです。
当時はそんなこととはわからないので、
「英語を勉強したいんだったら、日本の大学でだってできるんだよ?」
などと説明。
それでも納得しないまま、季節が秋になった頃、あることを思いつきました。
「そうだ、英語で有名な大学の、学園祭に行ってみようか?」
実際に行ってみれば、まず大学っていうのがどういうところなのかがわかるんじゃないかな。
そこで、英語を学んでいる学生たちの楽しそうな姿を見たりしたら、納得するかも。
私自身も、そういう大学の学園祭に行くのは初めてだったので、どんな感じなのか、ワクワクしながら娘を連れて行ってみました。
学生の皆さんが楽しそうに英語劇をやっていたり、世界各国の食べ物の屋台を出していたり。
普通の大学の学祭とは違う珍しいもので、いかにも優秀そうな学生さんたちが、とても素敵に見えました。
「すごいね〜。どう?」
と娘に聞くと、
「うん、おもしろい。
でも、こういうんじゃない。」
自分の求めていることとは違っていて、響かないようなんです。
それこそ、入りたいと思ってもなかなか入れない大学のキャンパスに来ているのに。
何だか偉そうに、日本の大学を否定しているかのように聞こえてしまいましたら、大変申し訳ありません。
そうではなくて、後に娘が「違う」と思うのはとてもシンプルな点だとわかったのですが、私もこの時は、娘が何を求めているのかがはっきりわかりませんでした。
やっぱりアメリカの大学じゃなきゃダメってこと?
そりゃあ、行けるものなら行きたいよね。
だけど、どうやって?
すごくお金がかかるんじゃないの?
・・・というか、そもそもアメリカの大学って、どうやったら入学できるの??
それまで娘はあまり興味があることもなく、どうしてもやりたいと言ったのは英語だけ。
その言葉の通り、この2年近く毎日欠かさず朝6時に起きて、ラジオ講座を聴き続ける姿を見てきました。
そんなに好きなら。
もし本気で言ってるなら。
なんとか娘の希望が少しでも叶う道を探したい、と私は思いました。
そこから、未知の世界に足を踏み入れていく、娘にとっても私にとっても冒険が始まることになったんです。