夕日はいつか赤くなれ
夕日は赤くない
やっと気がついた
夕日は金色に光る鏡だ
地平線に沈む前に
空の粒子をオレンジ色に燃やす
ただし、
アフリカの夕日は本当に大きくて
チョベ川に架かる空が真っ赤になる
言葉で人の気をひこうとしたら
おしまいだ
文字になるずっと前から
言葉は人の気をひこうとばかりしてきた
なぜ私たちの社会は
姑息で身勝手な人間たちに
たやすく牛耳られてしまうのか
夕日が沈んだ後も
まだ明るい東の空に
白い飛行機雲が残っていた
飛行機は空に何か言いかけていた
私は藍色の海をひとりで歩いていた
私の影は私を振り切って
初めて歩く魚のように
暗くなった海を泳いで行った
夕日はいつか
本当に赤くなれ
忘れてはいけないことを
想い出すから