暗い目をした君よ
壊れかけた夜から降ってきた
ターミネーターT800のように
私は裸でうずくまったまま
着る服がなくて
引っ越しもできない
右足の付け根から忍び込んできて
オレの血管の中をうごめく蛇は
オレの体中に散らばる
ひからびた逆上を
食い尽くしてくれるのか
私はいつからオレになったのか
私もオレも
着る服がない
ねんきんせいかつとは
年金生活のことではない
粘菌生活のことだ
動物でもなく
植物でもなく
菌類でもなく
人類でもなく
湿っぽい森で
月の光に照らされて眠るということだ
歩いていると
だんだんと足がつっぱってきて
体が浮き上がる
飛行の制御が効かないまま
見下ろす暗い地表の風景は
次々に変わり
見覚えのある場所に
着地する
あれからずい分空を飛んでいない
私は
失くしたものを
失くしたもので上書きばかりして
いつまでたっても
君の暗い目に届かない
それでも
心を見せ合う
服を見つけられないもの同志
離れてきたものとして
オレは明日の夜
湿っぽい森の上で月に乗ってみる
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