アンド・アイ・ラブ・ハー
雲の端が金色に縁どられていた
夕陽が丸い鏡のように光っていた
やり遂げたことより
やり遂げられなかったことを大切にして
と君が言った
君と生きてゆくこともできたのに
一緒に住むことも
君は最後まで本心を言ってくれなかった
ずっとそう思っていた
君は言おうとしていたんだね
あのとき聞こえたのは
悲しいときに泣いている
あの声ではなかった
言ったことよりも
言わなかったことのなかに
ほんとうの心があった
今になって気が付いたよ
雲がピンクに染まり
薄明かりがさしたあと
空はすぐに藍色に移っていった
愛と憎しみからできているだけなのに
なぜ僕らは感情を信じてしまうのか
ため息はまだ原型をとどめていた
木漏れ日でスカーフを編んだ
夕日が沈んだら
残った約束を包めるように