【乱読一考】シュタイナー 『ルシファーとアーリマン』 第3章 ルシファーは東アジアで生まれていた!?
シュタイナーが語る過去7000年間の歴史〜まず、アトランティスありき
シュタイナー講義集 "Influences of Lucifer and Ahriman: Human Responsibility for the Earth" の第3章(1919年11月4日ベルンにて講演)に入ったんですが、急に内容がぐんと密度を上げてきて、「え? え?」という感じで何度も聞いてしまいました・・・。
私はシュタイナーの哲学等に関心は持っているのですが、まだ超初心者なので、シュタイナーを読み込んでいる方には「こんなことも知らないの?」と言われそうですが・・・この章では、いろいろビックリした、というのが正直なところです。
まず、アトランティス文明が存在し、それが崩壊してから、新たな時代が始まったということが、フツーに語られています。デフォルトです。
これは、神智学協会を設立したヘレナ・ブラヴァツキーが重視していたテーマでもあり、現在のスピリチュアル界でも多数の支持者がいますが、シュタイナーにとっても、完全に既成事実なんですね。
ただし、この講義集の中では、アトランティス文明については、これ以上は語られません。これはアトランティス後だ、ということのみです。
紀元前5000年頃〜起きて肉体界に、寝て天界に生きる
現代の私たちの状況を知るために、大きな視点で歴史を見よう、というのがこの章の趣旨です。この歴史が、普通に習う歴史とかなーり違います。
まず、紀元前5000年以上前の人類は、直感的に生きていて、ある意味動物のようだった、と言っています。
ですが、いわゆる「原始人」というのとは全く異なり、直感的な魂として、地上に生きるために肉体を利用していたというのです。そして、自分は天界の一員であるという自覚があったということです。
寝ている間に天界に戻り、起きている間は肉体を持って地上生活。その彼らの現実を表しているのが、ミトラ教の有名な図像だと言います。
この画像が語るのは、人間は寝ている間は自分のふるさとである天に戻り、起きている間は動物界の肉体を持って生きている、ということ。
シュタイナーはそう語っています。
この彫刻は紀元前後に作られたもので、ミトラ教の紀元は古代イランと言われていますが、この辺、私はよく知らないので、また今後の宿題。
紀元前4000年頃〜意識はぼうっとしていたが、啓示を受けていた
人類は次第に進化していきますが、紀元前4000年頃は、まだまだトワイライトゾーン。意識はぼんやりとしたまま、というのがシュタイナー説。
なので、自分の知性を使い、考えを持って、判断をするということはまだまだ出来なかったそうですが、神秘的な啓示を受けることは可能で、その啓示に従った暮らしをしていたそうです。
精神・宗教世界のリーダー/シャーマンなどの力が強かった、ということでしょうか。
紀元前3000年頃〜ルシファーが東アジアに生まれ変わった!
そして、紀元前3000年〜 頃に、すごいことが起こった、とシュタイナーは言います。
それは、ルシファーが地球上に生まれ変わってきた、ということ。これは象徴的な意味で言っているのでも何でもなく、実際に肉体を持った人間として生まれた、というのです。それも、東アジアに。
その頃に生まれたある少年が、宗教的な環境で、神聖な儀式にも参加することを許されながら育ちました。そして、40歳くらいになった時のこと。この男性は、これまでは宗教的な啓示によってしか分からなかった出来事が、知性の働きによっても分かるようになったのです。
それまで、人間の知的能力は、肉体に備わっていても使えていなかったのに、この時から使えるようになってきたのです。これが、ルシファーの生まれ変わった姿だったそうです。
ここで、「え、東アジアってどこ?」と思いますよね? これは、中国だそうです! 中国にルシファーが生まれ変わったのです。
え、中国・・・・・誰!?
シュタイナーは、名前を言ってくれないんですが、このルシファーの生まれ変わりが教師となって、人類を導いていき、そのルシファーの影響は南ヨーロッパ、北アフリカ、小アジア、グノーシス派などに影響を与えて、紀元1世紀頃まで続いていた、というのです。
この、ルシファーの意味が、私にはイマイチまだ分かりません。ルシファーは天使界から落ちてきた堕天使として知られています。役割としては、地球上での人間の進化を邪魔するようなのですが、知性と意識の目覚めをするというのは、どういう邪魔なのかな? 地上に暮らしている人間を精神世界へ誘って、地に足のつかない存在にするのかと思ったんですが、違うのかな?
うーん、この辺も、よく分かりません・・・。宿題!
ゴルゴタの丘の奇跡〜キリスト
さて、紀元前3000年前にルシファーが生まれるところまできましたが、ここまでは前書き。話はシュタイナーがいる「現在」(この連続講義が行われたのは1919年)に飛びます。シュタイナーが言いたいのは、紀元2000年代になったら西洋にアーリマンが生まれるよ、というところ。
そして、その中間点に生まれるのが、キリストです。
キリストに関しては、ここでは詳しく述べられていませんが、ゴルゴタの丘の出来事は、こうした歴史の中の中間点として捉える必要がある、ということを言っています。そして、神智学的に見ても、ものすごく重要らしいのですが、これは他の講義や本からでないと分からないので、また今後の宿題!
近未来:アーリマンの生まれ変わり
こうした歴史を踏まえた上で、まもなくやってくるアーリマンの地上への生まれ変わりに対して、完璧に意識して対応しなくちゃならないよ!というのがシュタイナーの意見。
アーリマンの生まれ変わりへの準備は、すでに15世紀の中頃から始まっていると述べています。
それは、意識の発達、科学への盲信、宗教の単純化、精神世界への無関心、学問の形骸化、物質的進歩のみの追求・・・などなど。
この傾向が一気に加速して、こうした傾向を持つものすごく賢い人間が世界に生まれたら、この人がアーリマンだそうです。
しかし、この章の初めに言っているのですが、この世界は今、衰退していく一方なんだとか・・・。物理的状況としては、地球も人間も、どうやってもこの衰退を止められないのだと。
アーリマンの誕生と、物質的世界への傾倒は、この下降を果てしなく進めていってしまいそうですが、実はアーリマンの誕生こそが人類の精神世界の上昇に必要なものだとシュタイナーは言います。
私が読んで解釈したところでは、アーリマンが台頭し、物質世界・技術革新などが究極の進化をとげようとする時に、そこに人類の発展は実はなく、精神世界を見直さなくてはならないという強い意識が逆に生まれて、人類全体の発展につながるということなのだと思います。
しかし、そのためには、アーリマンが誕生してくることに対して、絶対的な警戒をしていかなくてはならないとのこと。その罠にまんまとハマってしまってはならないということ。
もちろん、その人が「私がアーリマンで〜す!」と言って生まれてくるわけではないので、これは、自分の意識を常にクリアにして、自分の内外にあるものを、アーリマン的なものかどうか、常に精査していくと同時に、精神世界を充実する、ということかと思います。
アーリマン・・・もう生まれているのかな。私が思いついたのは、イーロン・マスクですが、もっともっと凄い人なのかもしれません。
鏡に映っているのは?
シュタイナーは、最後の方で、魂と知性について鏡を用いて説明しています。
鏡の前に立つと、私たちには姿が見えます。しかしこの姿は、肉体が鏡という物体に反映したものを、知性がそれと判断したに過ぎません。この鏡を触っても、それは「私」という魂には触れることはできないのです。
知性は姿を「見る」ことはできるけれども、魂を知ることはできない、という例としてこう語っています。
ただ、知性は「見せる」ことができるので、私たちは気に入って使っています。でもそれだけを信じてはならない、スピリチュアルサイエンスなくして、アーリマンとの対決はできない、というのがシュタイナーの主張です。
地球は衰退している・・・・
シュタイナーは、地球は衰退していくところで、止めようがないと言います。そして、こう言っています。
我々は今後、「全てが全てに対して戦争をしている」という状態になる、その重大で深刻な事態を認識すべきだ、と。
この「全てが全てに対して戦争をしている」という状態、今の状況と似ていませんか? 誰が何を言っても、それに必ず反対する人がいる。それがバイオレンスという形となって現れる。国同士ばかりではなく、政党間、宗教間、ライバル会社同士、さらには友人間、家庭の中でさえも・・・。
嫌だなあ、と思いますが、この状況が今後改善するとは到底思えません。それを克服するには、精神科学が必要、とシュタイナーは語っていますが、人類の発展だけでなくて、それで地球環境も改善するかなあ・・。まだ何とか、ならないものかなあ。
人類の衰退は自業自得だとして、地球の他の仲間に迷惑をかけていることが心苦しい・・・これが不可避だと嫌だなあ・・・とそんなことも改めて思いました。
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