【乱読一考】『神様の御使いと暮らしています』〜眷属ってどんな存在なの?
私は霊能者の方の書いた本にとても興味を持っていて、次から次へと読んでいるんですが、この『神様の御使いと暮らしています』(原案・籠、漫画・宮咲ひろ美)はスピリチュアル・カウンセラーである籠(かごめ)さんのところで修行している20体以上の"眷属(けんぞく)"のお話を中心に据えた稀な本です。
眷属とは?
眷属は、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典では以下のように定義されています。
もともと、仏教用語だったようですが、籠さんの本では、神の使者である眷属神の意味で使われています。
私が初めて眷属のことを強く意識したのは、コミック『霊感お嬢★天宮視子シリーズ』第6巻でした。この中で、天宮視子さんが、野槌(のづち)という口だけあるのっぺらぼうの蛇のような存在を使って、土地の浄化をする話が出てきます。のづちのツッチーちゃんは、自然霊なのだそうです。眷属という言葉は出てこないのですが、「そんなものがいるんだ! そして使える人がいるんだ!」と吃驚仰天したのです。
My Take 1 バラエティ溢れる眷属さん
神様のお使いと聞くと、龍とか狐とか八咫烏などが思い浮かぶのですが、籠さんの眷属の中には、鎧武者や天文学を学んでいた陰陽師、のっぺらぼう、巨大な鯉、さらにはなんとゴブリンなどもいるのです! イギリスから来たらしい・・・・それはまさに、ハリーポッターの世界ではないですか!
いろいろな背景をもった眷属さんたちが、それぞれに「出来ること」も限られているらしく、例えば鯉さん1号2号は氾濫した濁流を横に導いて、災害を最小限にする、などのことをしてくれたらしい・・・。でも、ゴブリンさんたちはそれほど仕事をせずに、町内の見回りなどが中心とか。
籠さんは、クライアントや「上」からの依頼を、そうした個性あふれる眷属さんたちに仕事として回すエージェント、と自らを語っているんですが、そんな職業があるんだ、本当にマジカルな世界がこの現世に存在するのね!?となんか嬉しくなりました。
眷属さんたちは、こういう仕事をすることが修行になるとのこと。魂の修行の方法にはさまざまなパターンがあるようです。
My Take 2 眷属も辛いよ
眷属さんは、基本的には神様に仕えて働くはずですが、ときどき力の強い修験者などに捕まってしまい、その修験者(人間)が死んでしまうと、神様のもとにも戻れなくなって、迷子になってしまうようなのです。
そういう眷属さんは、霊能力のある人(この場合は籠さん)に出会うまで、何百年も待っているようです。力があっても、自分の思うようには出来ない・・・。それは大変に辛そうです。一方、眷属の修行も、意識高くやっているもの、それほど気乗りしなさそうなものと、さまざまです。眷属の世界も人の世界に随分似ているところがあるんだな、と思わされます。
My Take 3 美味しいものが大好き
そういう眷属さんたちは、それぞれに食べ物の好みが違うそうです。みたらし団子の好きな天狗さん、肉の好きなゴブリン、大根の麹煮が好きな陰陽師の蒼の君・・・。
そうした眷属さんたちが「食べた」後の食べ物は、味が薄くなっているとか。
それは何となく分かる気がします。私も神棚の供物をおろして自分で食べる時、「なんか味が落ちてるな」と思ってましたが、やはりお父さんやお母さん、食べてくれていたのかな。じゃあ、良かった。
My Take 4 ネガティブは修行のチャンス!
眷属さんのひとりが、籠さんに「呪いとか恨みとか人間てヒマなのか? ムダなことして!」と語りかけ、籠さんが答えるシーンがあります。
そうだったのか! よく「自分を愛しましょう」「自分を許しましょう」と言われるけど、ネガティブな思いを経験していると、「こんな自分なんて」と思いがち。でも、それは乗り越えて成長する機会を与えられたと思って、乗り越えればいいんだ。
「それがムダじゃないんだよ」籠さんの答えには大変勇気付けられました。
My Take 5 スピリチュアルじゃない生き方は
眷属さんのひとりが、日本人に信仰心がなくなったことを憤り、嘆きますが、そこでの籠さんの答えも、とても心に響きました。
確かに! 私も、スピリチュアルを意識しはじめてから、だいぶ生きるのが楽になった気がします。もちろん、宗教を信仰している人も、その中で生きる糧を得ていますが、この現世との繋がりがしっかりしている限り、スピリチュアルな意識を持つことによって、大きな視点をもって、孤独にさいなまれることなく生きられると思いました。
と籠さんは語ります。ナルニア国物語で、アスランがいつもそばに居てくれたように、私たちの人生も、常に指導霊・眷属・神様仏様が見守ってくれている、と私は思っています。
My Take 6 籠さんの能力って・・・!
霊能力者コミックをいろいろ読んでいる中で、この籠さんの能力はかなりスゴイんじゃないか、と思わされます。
魔と闘ったり、魔を出てきた穴に突き落としたり、その穴を塞いだり、眷属を助け出したり、「上」にしょっちゅう呼び出されたり・・・。
しかし、「普段こんなことをしてます」と可愛く描いているので「メッチャ能力の高い霊能力者!」という感じに出されていないところが、むしろスゴイな、と思いました!
My Take 7 眷属を欲しがったり、能力を羨ましがったり
眷属さんの能力とか個性とか、一緒に暮らす楽しさとかが溢れていて、さらに籠さんの能力も秀でているのが垣間見えるので、それに対する嫉妬を受けることもあるそうです。
確かに、これを読むと正直言って「私も眷属さんが欲しいなあ」という気持ちにならないわけではないです。でも、やっぱりこういうことは「起きる時には起きて、起きないときには起きない」し、眷属さんの修行になるかどうかは、眷属さんが知っていることなので、無理に「どうしたら眷属が持てるのですか?」というのは違うだろうな、と思います。
本の中には、籠さんの眷属を羨んで呪い(?)を送り、その結果眷属のひとりが病気になるエピソードが書かれていますが、そういうのは「ダメ、絶対!」ですね!
まとめ
眷属さんって、どういう存在なのかな、という興味から読み始めた『神様の御使いと暮らしています』ですが、スピリチュアルな意識とは、また生きる上でのネガティブな思いが人間にとってどういう意味を持つのか、など、自分自身の生き方が楽もなるメッセージがありました。眷属さんの活躍も楽しく、また今後も是非続きを読みたいなあ、と思います!