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型にとらわれない「道」を伝える人 白川紘さん

日本人の「思いやり」「まごころ」を取り戻すために伝統教育である「躾」に注目し、「道を伝える人」として活動されていらっしゃる白川紘さんにお話を伺いました。

白川紘さんプロフィール
活動地域
:九州
経歴:肩書という物差しで判断することに意味はないと思っています。その人の考え、思いはすべて行動に現れるものです。私の経歴などは、実際にお会いしてお付き合いが進行したのちにお伝えしております。肩書という偏見ではなく、白川紘というひとりの人間として、ありのままの私をみて欲しいと思います。
現在の職業および活動:道を伝える人
座右の銘:「為さずに、為す」(白川紘)

道を切り拓いていくことができる日本人を創る

記者:「躾」のワークショップを福岡で精力的に開催されていらっしゃる白川さん、どのような夢やVisionをお持ちですか?

白川紘さん(以下敬称略):最終的には「道を生きる」という生き方を伝えていきたいんです。もともと日本には、武士道や芸道(茶道・華道など)、神道という「道(生き様)」がありましたが、これから働き方や人の価値観が更に多様化して行く中、1人1人が「型にとらわれない道を生きる人生がある」ということを提唱しながら活動していきたいんです。「道」というのは結局生き方であり、心の在り方ですね。 昔の日本人の中で自分の人生を捧げる、貫いて生きていく覚悟を持たれた人達が「道」という生き方に入って行った。それぞれの日本人が職業の中で、そういう生き方をした人がすごく多かったんです。だけど今、ただの仕事になってしまっているんです。内側からくるものではなくて「やらされている」もしくは「食べるためにしかたなく」そういう受動的なものになっています。それを能動的に生き様とか生きがいとか、道を切り拓いていくことができる日本人を創る、そのスタート地点に立てるまでの心を養う部分のつくりかた、育て方を伝えたい、と思っています。それが結局「躾」なんです。道に生きるというのは、生易しいものではなく、厳しい世界です。当然逃げてはいけない世界ですし、極めていくというのは、一つの真理の追究だと思います。
そして普遍的な変えてはいけない部分をきちんと本質を残しながら、現代の人たちがそれぞれに合ったスタイルに取り込んで生きていっていただけたらと思っています。身体的な強さも身に付きますので自信がつく、自分の軸ができる。心が動じなくなります。そうなると、自分がぶれなくなり、周りの人たちの困っていることに気づけて手を差し伸べたり、助けたりが自然にできるようになってくるんです。すると本来自分がどう生きたいのかが観えてくるんです。頭で考えるより、心で捉えられるようになってくるんです。そういう人を一人でも増やしていく、伝えていきたいですね。私が死んでしまった後でもずっと続いていくような形を作っていくのがVISIONですね。ひとつのマイルストーンとして1000年後にも残っていたらいいな、と思います。

記者:白川さんの日本に対する思い、人に対する熱い思いが伝わってきますね!! ではそのVISIONを達成するためにどんな目標や計画を立てていますか?

白川:いまやっている躾のワークショップはさわりでしかないんです。入門編という位置づけですね。これから具体的に「躾塾」というのをやっていきます。成長を感じてもらいたいので、それに合ったステージということで名称はまだ具体的には決めてませんが、初級・中級・上級のような形を取って少しずつ自分の成長がわかるような塾を考えています。その先もあって「みち塾」というのを考えています。躾というのはどこまで行ってもできあがることはないんです。一生自分を正し続け、自然体であり続けるという事が大事だと思っています。

記者:それこそ行くべき「道」が白川さんには明確なんですね!!その目標に対してどのような事を大事にされてますか?

白川:実はこの活動は東京でやってないんです。「東京」という社会的ステータスや、ブランドに依存したくないからなんです。そして福岡は伝統と若い人がどんどんと事業を起こしていくエネルギーとどちらもバランスよく併せ持った地だな、と思うんです。これが融合した街ってなかなか無いと思うんです。そういう面でも躾のイメージとぴったりな福岡から広がっていって欲しいなと思ったんです。そして何より福岡が大好きなので、福岡からの発信をしているんです。
あとはお会いする方1人1人ときちんと向かい合って大事に丁寧に接して関係を築いていくことを大事にしています。その中で、私の行動や言葉など、全体を含めて初めて伝わっていく、と思っています。私と接してもらうことで、人間が不完全だという事に気づいてもらえたらいいかな、と思っています。悪いところ、良いところ関係なく知ってもらいたいと思っています。そもそも完成された人間なんていない、と思っているのでお互いに不完全性を受け入れる、認め合えるようになれればいいですね。

躾というのは今ではマナーや礼儀作法ととらえられがちです。つまり世渡りをするための便宜的な道具とされてるんですけど、本来は教えて身につくものでもないと思っているのですね。書いて字のごとく、「身」が「美しい」と書いて「躾」。「身」は身体を意味していて、そして日本人は古来から「美」というものを自然の中に見出してきました。庭園様式の枯山水などは、庭の中に自然を作りたいという想いでできたんです。「身体」が「美しい」とは、つまり「自然な身体」であり、自然体を創るというのが「躾」なのです。結果、この自然体ができたら力が抜けます。力が抜けるほど身体が安定して「強い力」が出てくるんです。筋力がない人の方がより強くなりやすい。筋力というのは繊細な感覚を邪魔してしまうものなんです。そして身体が強くなると心までも安定して強くなって、それが本当のリラックスを生み出すんです。実際にそこまでをワークショップで経験してもらいます。

記者
:躾についてそんなに考えたことがありませんが、日本の自然を愛する心までもが含まれている奥深いものなんですね!白川さんがそのVisionを持つようになったきっかけは何ですか?

白川:私の過去、主にビジネスの色々な失敗からですね。昔の私は今とは真逆で最悪の人間だったんです。はじめから自分でビジネスをやっていたのですが、本当に人を大事にしなかったし、お金を稼ぐということが中心で、自分のことしか考えられない人間でした。悪いお手本だったと思います(笑)。その結果、人が離れていき、すべてうまく行かなくなったんです。そこに気づいて自分と向き合うようになりました。気づけた原因が、私がずっと学んでた武道のおかげだったんです。武道が心の在り方、道、精神的なことを、言葉ではなく稽古を通してずっと教えてくれていたんです。ただ私が若くてお金の事しか考えていなくて武道を生き方に使えてなかったんです。
仕事や私生活でたくさんの問題がおこり「自分が変わらないといけない!」と思った時に一旦全部自分の人生を見つめ返して、「おかしくなった本当の原因はどこにあったんだろう」と、1年近く考えました。その時間を持った時に初めて「自分がやらなきゃならないこと(使命)」と「やりたいこと」が自然と結びつきました。それは「人を幸せにする」ってことだったんですね。そして自分に何ができる?と考えました。その時に日本の道を生きる、胆力を養ったり、忍耐力を形成したり、そういうところを伝えている人が少ない事に気づきました。そしてそれを形作るために躾に代わるマナーのセミナーに色々参加したんですが、セミナーで教えられるものは根拠のないマナーだったんですね。例えば会釈の角度は15度で、礼は30度、敬礼もしくは最敬礼は45度と教えられるんですが、「何でその角度なんですか?」と講師に尋ねても誰も明確に返してくれないんです。目の前の人に挨拶をするときに「15度で礼をしよう。」と頭で考えたら、その目の前の人のことを全然思い遣ってないですし、その方の心が観えなくなりますよね?それよりもその方に「よい一日をお過ごしください。」という気持ちで接すれば自然とそのお辞儀の角度って決まると思うんですね。更に深い想いがこもっていれば勝手にお辞儀が深くなると思うんです。それが実際の心のやり取りだと思うんです。それからも色んな講座に行ったんですが、その部分を大事にして教えている場所が無かったので、これは自分にしかお伝えできないな、と思って今に至っています。

記者:そうだったんですね!白川さんと使命の出会いですね!その使命との出会いのきっかけや発見にはどんな背景がありますか?

白川:こういうのを前面に出すと、「あの人はこういう勉強をしてきたから」と言われるので正直話したくないんですが(笑)、19歳くらいのビジネスを始めたころからすごく本を読んで生きてきたんです。ある分野に凝り固まりたくなかったので一万冊以上読んできました。広い知識を深く付けたかった。政治学でも国際政治学など、地政学、経済学、経済学でもミクロ経済学からマクロ経済学、哲学は東洋哲学だったら老荘思想、儒教であったり、陰陽五行であったりとか、当然ヨガ、仏教だとか。そういうところから一神教のゾロアスター教、キリスト教、現代宗教まで学びました。西洋哲学もソクラテス、プラトン、アリストテレスとか、西洋哲学の源流から、カント哲学や神学、そして社会学、心理学、物理学、脳科学、行動学など。そして勉強すればするほど日本の政治がおかしい、教育がおかしいと問題を感じていたんです。政治にしても教育にしてもすべて上が勝手にルールを作って、それがあたかも正しいかのように、一般の人がそれに従って生きて行くわけじゃないですか。民主主義でその状態って違うなって思いまして。ただの多数決の原理が利用されていて、それがまた例えば政治の票を集めるための道具になっているのがすごく見えるようになりました。当然心からの思いで活動されている政治家さんもいっぱいいると思いますが、システム自体がそうなっているのでそれを変えようと思うと難しい。でも世の中をどうにか良くしたい、私のもともとあった想いが、本を読む中でさらに湧いてきたんです。
さらに2017年の教育白書の中で10歳から14歳までの死因の中で自殺がトップだったんです。そういう若い人たちの自殺だったり、若い人たちの夢が無いと言われるところを見た時に「何が抜けているんだろう?」と考えたんです。それがきっかけで「躾」という本当の教育が大事だ、というキーワードが観えました。人を思いやれなかったり、自分に自信が無かったり、全部そこから来てるんです。今の若い人たちが夢が無いって言われるじゃないですか。本当は夢が無いわけではなく、質問の仕方が問題なんです。「やりたいことありますか?」という質問でなく「希望がかなうとしたら何がしたいですか?」と質問をしたらみんな答えられるんですよ。夢が無くなっているわけではなく、自信がなくなっているんです。自信さえ取り戻せれば夢もかなえられる。それが取り戻せるのが「躾」だと思っています。

記者:白川さんの一言一言が日本人の高い精神性を代表して発言してくださっていたように感じ、日本の良さをもっともっと発信したくなったインタビューでした。白川さん、本日はありがとうございました!!

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白川紘さんの活動、連絡についてはこちらから↓↓


【編集後記】
今回インタビューの記者を担当した古川と不知です。お話を伺いながら、元々日本人が持っている素晴らしさの本質を伝えていく白川さんの覚悟を感じました。そして今までたくさんの方々に感動をプレゼントしていらっしゃるように感じましたし、今後もたくさんの方々の生き方に影響を与えていかれるんだろうなと確信しました。本当に素敵なお話をありがとうございました。

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この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。


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