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【いよなん12/1新刊サンプル】毛石『Night Diving』

みなさま、はじめまして。
あるいは、おひさしぶりです。

いよなん、でございます!

さて、文学フリマまで1ヶ月をきりました。
というわけで、今回からは『いよなん』第2号に掲載される作品のサンプルを紹介していきます。

というわけで、最初に紹介させていただくのは、毛石さん作の小説『Night Diving』です。

いよなんサンプル #1

作者:毛石
タイトル:Night Diving

あらすじ

思い描いた未来が遠のいた時に、迷った道を照らしたのは、身近な先輩だった。自分で歩くことができなくなっていた私の世界を再構築したのは、一人で歩いている人々や一匹で生きる生命だった。私も、自分の足で人生を歩いていく。

本文サンプル

 ざっくりと、考えていた人生のスケジュール。三十くらいで結婚して、三十五くらいまでに出産する。  
 スケジュールはあっさり崩れた。また振り出しに戻った。一から始めなくてはならない。その事実に、思い描いていた世界は遥か彼方であることを知った。みんなどうやって結婚してるんだろう。結婚して子供を産んで、育てて、それってこんなに難易度高いの?その手前にもたどり着けないよ。街を歩く子連れの人が、スーパーエリ―トに感じる。私がたどり着けない世界にいる人たち、どれだけ徳を積んだらその世界に入れるの?私の椅子はそこにはないの?あると思ってたのに。

「課長はなんで独身なんですか?」  

 食後のコーヒーを飲む吉住課長に、つい口をついて出てしまった言葉。コーヒーを飲みながらこちらを探るように見る吉住課長。

「独身で生きて行こうと計画して独身というよりかは、結果としてかな。いろんな人と付き合ったりもしたけど、これといって、なんていうか、結婚しようって思う人に巡り会わなかったって感じかなあ」
 
 コーヒーに落としたミルクを見る。簡単には交わらない。スプーンでかき混ぜてやっと交わるのだ。

「無理してする必要ないじゃん。生活は自分でなんとかなるし。それに結婚したところで、相手がヤバいやつで、こっちが搾取されるかもしれないでしょ」
「そんな人、そもそも選ばなくないですか」
「わからないよ。人の本性は、見えにくいし、自分が見たいようにしか見ないものなんだよ」
「見たいようにしか見ない・・・」

 ぎくりとした。  
 どうして私は彼も同じ気持ちだろうなんて思っていたの。結婚や出産のタイミングは、私自身のことなのに。私にとって、彼は都合が良い相手だっただけなのではないか。

「結婚したって、別れるかもしれないし。別れるなら別れたらいいし。するもしないも、無理にすることじゃない。どっちだっていいと思うけど」
 
 コーヒーを飲み干した。


さてさて、気になるこの続きは、『いよなん』第2号に掲載されています!

『いよなん』第2号は、
西3・4ホール
ぬ-21
に場所をいただいています!

みなさんのご来場をお待ちしております!

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