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15年以上前のゲームを今、やり直した理由

先月、ドラゴンクエストⅨを再びやり出した。
最初はインフルエンザにかかってしまい、やることがなくなったという理由からだった。

ゲームソフトの発売日は2009年。
15年以上も前のゲームであり、もちろんグラフィックや操作性は今と比べるとかなり劣る。
それでも今、このゲームを最初からやろうと思ったのは、もう一つのある理由からだった。

ドラクエは父親に買ってもらった初めてのゲームだった。
それまでRPGと呼ばれるジャンルに触れたことのなかった私は、その刺激性と大人びたストーリー、当時では珍しかったキャラクタークリエイトにどハマりすることになった。

当時小学生だった私と出張続きだった父親は、ほとんど顔を合わせることがなく、話す機会がなかったこともあり、母親と比べて距離感があった。
その時に架け橋となってくれたのがドラクエだったのだ。

母親が元々ゲームにハマらない性格だったことも重なって、休日になると父親とは毎回のように数時間かけて通信をして遊んだ。
父親が出張で不在の時は、1人でストーリーを先に進めるべくソロプレイに勤しんだ。
私はドラクエのおかげで父親との思い出が作れたと言っても過言では無い。

めったに怒らなかった父親にめちゃくちゃ怒られたのも、ドラクエが最初で最後だった。
父親がうたた寝している最中に、強そうな装備品を片っ端から私が売ってしまったのだ。
どのように怒られたのかは覚えていないが、とにかく詰められ、トイレで1人泣きながら二度としないと誓ったことだけは覚えている。

通信プレイで父親にレベル上げを手伝って貰ったり、ボスが倒せないと半泣きになりながら母親の携帯を借りて父親に連絡したり。
1年以上かけて全ストーリーをクリアした私だったが、やり込み要素だけが残されたドラクエにいつの間にか興味を失くしてしまった。

家庭内の雰囲気が急激に悪くなったのも、この頃だった。それから程なくして両親は離婚し、母親との生活が始まった。

1人の人間として、父親のことがどうしても好きになれなかった私だったが、それでも顔を合わせた時は何度かドラクエをして遊んだ。
「たからのちず」を使って、見たこともない敵と戦い、何度も死にながら、ボスを倒せた瞬間には自然とハイタッチをしていた。
ゲームをしている時だけは、家族になれた。

私が今、もう一度ドラクエをやろうとした時、最初に浮かんだ理由は「思い出の上書き」がしたいからだった。
今回こそは、自分の力で全てをやり切りたい。
私はもう1人でも出来るんだぞと言いたかった。

でも父親と遊んだドラクエは、紛れもなく家族だった瞬間であり、私の思い出に違いなかった。
だから私は思い出の上書きではなく、新たな冒険としてドラクエをすることに決めた。

「私」ではなく、「栖山依夜」としての冒険を。

やっぱり楽しい!

#言葉の庭


かぜの帽子さんの企画に参加しました!
テーマは「私の大好きな景色」「忘れられないあの風景」。
少し趣旨からは外れるかもしれませんが、私の忘れられない景色を書いてみました。
ドラクエ、全クリ目指して頑張りたいです。

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栖山 依夜
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