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EP018. 好き嫌いでもいいんじゃないですか
頑張る自分へのご褒美と癒しと身体的・精神的デトックスを兼ねて、週に一度はこの整体サロンへお邪魔している。整体院とリフレクソロジーサロンがミックスしたような所。オシャレなだけじゃなく、技術力もしっかりしている。
今週はいつになくカラダが疲れていた。
仕事がとってもストレスに感じていた。
望まない方向に向かっている気がしていた。
「あのとき『嫌だ』ってはっきり言っておくべきだったな…。」
同僚が嫌だと拒否した仕事が私に回ってきた。本当なら指示された同僚がやるべきなのに。自分勝手だ。その仕事は私にとってもやりたくないものだったけど、周囲の目に「自分勝手な人」だと映りたくないし、困っている上司を見ていると断れず、結局受けてしまった。
こんな具合だから私はよく貧乏くじを引く。周囲も嫌な時は私に振れば良いと思っている感じだ。
私には人の顔色を伺うクセがあって、なかなか上手に本心を見せることができない。本当はこうしたいと願っていても、目の前の人に遠慮していたり、周囲の目を気にしている。そのクセ、自分が望まない結果になったら後悔している。いつでもそうだ。
「なぜなんだろうね。」
子供の頃からそうだった。親は厳しくて、自分の意見なんて聞いてくれなかった。よく叩かれた。怒られないように、叱られないように、良い子に見られるように、親の望む自分になるように、親の顔色ばかり見ていた。
結婚もうまくいかなかった。
いつも夫の顔色ばかり伺って遠慮ばかりしていた。
機嫌をそこねないように、良い妻と見られるように、外で恥ずかしい思いをしないように。
もちろん不満なことはある。でも愚痴をいう妻に見られたくないから不満があっても我慢する。我慢するから蓄積する。永遠に蓄積させることはできないから、いつかは溢れて爆発する。結局耐えられなくて終わりにするしかなかった。
「今日はどんな感じにしましょうか?」
「そうねー、ちょっと肩甲骨の内側が辛くて。」
「では、まずカラダをほぐしていきますね。」
しばらくした後、こんなことを聞かれた。
「精神的に辛いことがあったんですか?」
「なぜそんなこと聞くの?」
「肩甲骨の内側当たりに違和感を感じられる時って、自律神経が良い状態じゃないことが多いんです。それで何かメンタル的に刺激を受けるような出来事があったのかと。」
「分かるんだ…。」
私は会社であったこと、いつも遠慮していること、他人の顔色基準で行動してしまっていることを正直に話した。
するとこんな言葉を返してくれた。
「一つお話をしても良いですか?」
「うん、お願い。」
「判断基準は、好き嫌いでもいいんじゃないですか?」
「そんな、好き嫌いなんて自分勝手過ぎる。そんなことしたら周りにどう思われるか…。いい大人なのにワガママな人だって思われるじゃない。」
「失礼ですが…、あなたは誰の人生を生きてるんですか?」
「え?私の人生に決まってるじゃない。」
「人の顔色を伺って、人に遠慮してですか?自分の望みを後回しにして、誰かが望む自分や良い人を演じていてですか?自分の望みと自分の行動にギャップがあってもですか?」
「そう言われても…。」
そんな風に考えたことはなかった。
そんな視点があるなんて考えてもみなかった。
そう考えてみると、私の人生ってなんだったんだろう。
子供の頃は、親が期待する子供の人生を生きていた。
結婚していた時は、夫が望む妻の人生を生きていた。
今会社では、物分かりが良くて気が利く事務員の人生を生きていた。
どれも「私」ではない。
「私…、自分の人生を生きてなかったのね。」
「自分の好き嫌いに従ってみても良いじゃないですか。自分の人生です。あなたはあなたの人生の主役で監督。主役のあなたがどう振る舞うかは、監督のあなたが決められます。それに人に迷惑をかけさえしなければ好き嫌いで決めてもワガママじゃないですよ。好き嫌いの判断が難しければ、それをすると後悔するか、それをしなかったら後悔するか、後悔するかどうかの軸で判断するのも分かり易いですね。」
「私が主役で監督…、後悔するかどうかか…。」
いつも後悔ばかりしていた。
ああすれば良かった、こうすれば良かった。
ああ言えば良かった、こう言えば良かった。
「私の人生ってそんなことばっかだったな。」
悲しみと後悔を感じながらも、何だかちょっとスッキリした気分になれた。
「もっと自由に生きてみようかな。自分の人生だし。主役で監督なんだもんね。」
今日は身も心もとってもリフレッシュできた。
せっかくだから、人生もリフレッシュしてみようと思う。
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