【読書録】名君の条件 諫言を聞き入れ、わが身を正せ
読んだ本を紹介する試み
今回は『貞観政要』です。
この本はいわゆる帝王学の教科書と言われております。
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感想
結局、大事なことは昔から変わっておらず同じで、物質的にも精神的にも慎み、控えめなのが良いということが分かった。それでも人間は油断すると怠惰や傲慢が隙をついてくるので「諫言、奢侈、粗食」を掛け軸にして嫌でも目に入るようにしたいくらい胸に刻もうと思います。でも霞を食うような人生は楽しくないので贅沢や散財ともいい距離感で付き合っていきたいと思います。
帝王学の教科書
この本は遣唐使でおなじみ古代中国、唐の名君”太宗 李世民”と、それを補佐した名臣たちの政治問答集です。
短命で終わることが多かった時代に長く国を繁栄させるために、少しでも国民を豊かにするためにどうしたかが書かれています。
某麦わら帽子の船長が自己中心的だったり、仲間を駒のように扱うようでは、たちまち一団は裏切り、反逆により崩壊してしまします。
人を惹きつけるためには、部下を動かすには、そのようなリーダーとしての振る舞いを正しくあり続けるように問答を記した本です。
本との出会い
ちょうど「人間の内側を磨こう」としていた時期でした。
身のこなし、立ち居振る舞いを意識したり、そのために良さそうな本を探したり人間観察をしたりしていました。その中で帝王学というキーワードを見つけ、少しでもヒントがあればと思い調べてみたことがきっかけです。
この時は珍しくYoutubeで「帝王学 本」などと検索したのを覚えています。普段はインターネットや図書館の検索欄で調べるのですが、試しにyoutubeの解説動画を見てザックリ内容をつかもうと読書の仕方を変えてみた時でした。
そもそも帝王学とは
帝王の地位につく者が帝王としてふさわしい素養や見識などを身につけるために行なう修養。
帝王学はもともと王位継承者が王位を継ぐ者としてふさわしい知識、作法、儀式を身に着けるための特別な教育のことでした。
しかしながら今日の広い意味では経営やリーダーシップといった視点から人を率いる者としての素養を養う意味で使われることもあります。
なお、帝王「学」とは言ったものの正式に学問分野として成立しているわけではなく、通俗的に帝王学と呼ばれているそうです。
諫言
この本では君主が家臣に対して、一貫して「諫言(かんげん)」するように説いています。諫言とは「諫める(いさめる)」とも書き、目上の人の問題行動を遠慮なく指摘し、忠告することです。
名君太宗は何度も部下に諫言するように伝え、部下も太宗を何度も諫めました。部下の説得、批判を聞き入れ自らを鍛え上げようとしていました。
何をどれだけ気をつけようが人間誰しも時間が経てば過去のこと、、、すぐに忘れてしまいます。
特に、お金や地位を得ると偉くなったと勘違いすることもあります。
行き過ぎたワンマン経営によって誰も意見しなくなり会社が傾くこともあります。上司の偏った好みで部下の給料が変わるような会社では信頼もなく人が辞めていきます。そのような例は現代でも数えればきりがありません。
そうならないように部下に忌憚のない諫言を聞き入れ、身分不相応ではないか、権力の濫用ではないか常に気を配り、裸の王様にならないように努める必要があるのです。
身の程を超えた贅沢
太宗は奢侈に流れることにも非常に警戒していました。
奢侈とは度を越えた贅沢や身分不相応にお金を費やすことです。
例えば、
・特急電車に乗ってからはもう普通電車に戻れない
・軽自動車よりも大きい車の方がいい
・毎日コーヒーを飲む
このようなことは誰にでもあると思いますが注意が必要です。
1回あたりは小さな出費でも数が重なれば、知らず知らず大きな出費に膨らんでいることでしょう。お菓子を買うと次はジュースが欲しくなるように少しの贅沢が次の贅沢を連れてきます。
本当に必要で身の丈にあっているでしょうか。必要に対して度を越えていないでしょうか。
人間少し足りないくらいで丁度いいのだと思います。
まとめ
とにかくこの本はずっと諫言による問答が続きます。
治世、人材登用、後継者の育成、刑罰、軍備まで君主と臣下で話し合います。
一国の王になれば自分がルールです。何でもできます。
それでも道理に従い、分別を持ち常に善い行いをするように気をつけた結果、名君として現代にまで受け継がれてきたのです。
自分がどのような立場であっても諫言をしたり、受け入れてよりよい人生にしていきたいですね。
気になった方は書店や図書館で探してみてください。
今回はこの辺で。