⑦移住への決意
移住への決意をひっくり返されてから二日後に僕たちは、ある緑がとても深い山間の村で車の中で一夜を過ごした。
僕たちの旅は基本的にテントを持ってきていて、テント泊や車中泊をしている。行き先を決めずに行きたいところへ感覚的にドライブできるからだ。もちろんコーヒーミルやお気に入りのマグカップも一緒に。ほんとは焚き火ができたら言うことなしだ。
そして、昔からいつも土地を探していたので憧れの根無し草のようなそんな旅が、旅館やホテルに泊まる旅よりもなんか好きだ。
朝早く目が覚めると外は深い朝霧に包まれてとても神秘的だった。時折り朝霧は優しい風になびいてかたちを変えていってしばらくすると朝日に混じってゆっくりとその気配を消していった。
素晴らしい朝だった。
コーヒーを飲みながら余韻に浸りながらゆっくりと朝食をとってから、友人たちとの待ち合わせの場所へと向かった。
待ち合わせの場所へ向かう路は、今まで走ってきた路とは違ってそれだけで何かご褒美を頂いたようなそんな素敵な路だった。
心地よいワインディングロードで右手には川が流れていて秋の気持ち良い空が心をさらに軽くしてくれた。
僕たちは素晴らしい一日になるような気がしていた。