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剣道。得意技の育て方。
小学生〜中学生(初心者)向け、剣道をやったことがない保護者の方に向けて、少しまとめてみよう。
剣道には、たくさんの攻め方・技があるけれども、小学生〜中学生(初心者)が、考え方を整理するだけで、上達する内容を整理してみたいと思う。
今回の話題は、
・得意技をどう育てるか?
試合に勝てない子のキーワードは、5つ
・待てない
・誘えない
・単調
・真面目すぎる素直すぎる
・竹刀の切先のコントロールが下手
4つ目までのキーワードは、攻め方のバリエーションが無さすぎて、カモにされる人の特徴と一致します。
待てないから、自分から叩きに行くが、
振りかぶって打ちに行く、のリズムも一辺倒。
攻められても、打たれやすい腕の上がり方になってしまって、コテを、胴を打たれてしまう。
真面目すぎて素直すぎるから、相手を騙し討ちしようとも思わないから、単発攻めになる。
「剣道は、スポーツじゃ無い」と言い張る教育側のダブルスタンダードにも原因はあると思うんですが、否定してもしかたないので(笑)
今回は、置いておいて。
負けた経験→勝てる体験→勝って自信が持てる→自信を持てば卑屈にならない→他人に優しくなれる→優しい心は感謝を生む→練習を一緒にできることに感謝できる→試合が組めることに感謝できる→勝っても負けても相手に感謝ができる→礼に始まり礼に終わる→周囲の人に感謝と尊敬を持って接する→元々の優しさが確かな自信の上に成立する→剣道は心を育てる
という、落語の「桶屋が儲かる」理論で、一旦、「スポーツ的に勝てる」ことの重要性を一旦認識して、過程を作る手段として、方法論としての勝ち方を考えてみましょう。
だいたい、試合に勝つ子の状態は、5つ
・待って機会を逃さない
・誘って相手を動かす(隙をつくる)
・単調にこない(フェイクもいれる)
・企んでいる(見たことない攻めをしてくる)
・竹刀の切先のコントロールができる
剣道は、案外、後出しジャンケンです。
相手の初動の隙。
フェイクへ対応による無駄な挙動から生じる隙。
打突後の隙。
集中力が欠ける一瞬の隙。
特に試合では、練習で体験していないことをさせられればさせられるほど、隙が生まれます。
隙ができれば、叩かれ、負けます。
逆に、上手な子は、隙をつくるのが上手です。
隙をつくるバリエーションが豊富です。
スポーツ的にみれば、出し抜くのが上手。
何を考えてるかわからない感じがあるんです。
それをどうつくるか?
得意技を育てる
①「正しい姿勢と試合で使える姿勢」
まずは、発想を180度変えます。
正しい姿勢で振りかぶって一本取れるのは、小学校6年生VS小学校1年生の6年生が勝つ時です。
だからこそ、相手の崩れた姿勢の時に、最短ルートで打ち込むことを考えます。
面は、突きの延長線。
小手は、潜り込んで、首を傾げて飛び込む。
胴は、相手の竹刀を払う、いなす、少しpushして隙をつくりだしてから、払い斬る。
手首を柔軟にして、切先を軽やかに動かす。
最短ルートで打突する。
①の方法論(観察)
竹刀を構えた切先の動きを、目線で追いかけましょう。
一本取れる子と、負け続ける子
一本取れる時と、負ける時。
大きく振りかぶるのは基本ですが、基本を大切にすることは重要ですが、基本だけでは勝てません。
①の方法論(出小手)
正体し、構えた状態から、受け身側が面を打つために竹刀をあげます。
打ち手側が、手首が動いた時点で、どれだけ早く打ち込めるか?をやってみます。
だんだんと面を打つ受け身側が、棒立ち(動作がゆっくり)→試合で使う面→実戦形式(フェイクをいれる)
徐々に実戦の打ち方に進んでいきます。フェイクにだまされて失敗する経験がとても良いものに積み上がります。
出小手は、相手の動きの初動を捉える一番わかりやすい技なので、理解しやすい組み合わせと、私は考えています。
得意技を育てる
②制約の中で戦う方法論
例)面だけVS小手だけ
試合形式に近いやり方をイメージしてください。
打てる部位を、くじ引きなどして、制限します。
この場合、小手を打っても一本を取らないではなく、小手しか打ってはいけないという設定をするとより効果的です。
そして、次の段階で、制約をはずし、自由に戦ってもらいます。この差で生まれる「自由」にアイデアが育ちます。
(参考:剣道。5つの攻撃。)
②制約の中で戦う概念
直感的に、圧勝できる組み合わせ、五分五分、負ける組み合わせというのを感じてもらうことが成功です。
また、1部位(面だけ)VS 2部位(小手と面)など、制約に差をつけたルールのもとで戦う経験をするのも良いでしょう。
「胴だけじゃ勝てないよ」という愚痴が出れば、順調です。
制約を外します。制約を外すと、「3つも打てるところがある!」と感じます。
もしくは、小手は苦手だけど、面と胴の方が得意かも?と考えが至ります。
自分の体型や反射神経などの持って生まれた制約を認識することから始まります。
自分と相性の良い技を探るきっかけをつくります。
また、得意技を活かすために、体を鍛えたり、苦手を克服することへ進みます。
順序がとても重要です。
得意を見つける→得意を伸ばす(強化)→得意を活かすフェイク→苦手を克服する
です。
得意技もまだ無いのに、ダメなところを指摘され続けるのはどうでしょうか?やめたくなるのも当然です。
なにかひとつできるようになること。それが褒めてもらえること。
その体験を育てましょう。
さて、いかがでしたでしょうか?
ほんの一部分ですので、どれほどの成果に直結するかどうかは、わかりません。
けれど、目的を設定して、そこから逆算するという考え方で見えてくる世界があります。
素直な子どもたちは、素直に頑張ります。指導方法が理に適っていなくても、がんばります。
指導方法が間違っていて、がんばっていたのに、怒られるのですから、こんな理不尽なことはないでしょう。
逆に、発想力に恵まれた子やいたずらっ子は、指導されていないことまでやっています。指導が理に適っていなかったら、なんか違うなと感じて、上手にさぼります。間違った押し付けを直感的にサボるのですから、優秀です。試合でされた嫌なことを取り入れます。相手にどんどんイヤな攻め方を工夫していきます。
「いやらしい人になれ」とは、指導できませんが(笑)
「工夫を考え、尊敬する相手の発想から学ぶ」と言い換えるとどうでしょうか?同じことでも着眼点が変われば、剣道というスポーツではないのに勝ち負けを強いられる鍛錬という特殊な環境下でも、正しいと感じられる物言いになると思います。
指導者さんだけでなく、寄り添う親御さんも、工夫していきましょう。
あなたの得意技は?見つかるといいですね。