「フリーライダー」を罰するためなら自分が損しても構わないのが日本人?
読書の感想その3です。1冊の本から3記事も書けるなんてコスパがいい、ではなくて、内容が興味深くて考えさせられるということです。
「先生、どうか皆の前でほめないで下さい」という本の感想。
本のジャンルはありていに言えば「若者研究」で、内容も8割くらい大学生について書かれている(著者が大学教授)。でも最後の方で日本人的な特性について触れられている。
この部分がとても興味深かった。ぼくがこの本を読んでまず思ったことが「現代の日本人的な特性は弱まるどころか却って増幅されているの」だったので。
この本の真のテーマは「若者」ではなくて「日本人」なのかもしれない。
日本人は「いじわる」?
人間には「フリーライダー(タダ乗り)している人を罰したい」という欲があるという。
日本人は特に「フリーライダーは許さない」という意識が強いんだとか。
つまり、得している人の足を引っ張るためには、自分がかなり損しても構わない、という姿勢を持っている。
これを読んで、ぼくはなんだか過去にあったいろんなことに納得ができてしまったような気がした。
「出る杭を打つ」のが(多くの)日本人にとって優先順位の高い事項ということになる。
とある心理学の実験がある。
AとBの2人で賞金を山分けするとして、そのとき配分はAが決める。
たとえば1万円を分けるのに5千円ずるにするとか、8千円と2千円とか。
そのとき、もう一方のBが提案を飲めば賞金が受け取れて、Bが拒否すれば「どちらも受け取れない」というルールとする。
たとえばAが8千円でBが2千円の場合に、Bの人は拒否する確率が高い。
Aの提案が不服だからだ。しかし客観的に冷静に考えたら、いくらだろうが貰えたほうがトクなのに、Aだけが多く取るというのが許せないとBは自分が損しても(自分の取り分がなくなっても)Aを罰する方を選ぶわけだ。
こういった「トクしているやつを罰したい」気持ちの強さが、日本人は強いという。
他の国の人はわからないけど、日本人にその傾向を持つ人が強い、というのは納得できる気がする。今までの経験的に。
特性を持った原因はいろいろあるだろう。ムラ社会が長かったため強調を重んじる方が生存確率が高かった、とか。
ぼくが思ったことは一つだ。ありふれた感想になってしまうけど。
今の世界では、足を引っ張っても誰もトクしない。
心が「さもしく」なるだけだと思う。
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