能動的な行動、受動的な情熱。:愛するということ、他3冊【12月の読書記録】
あけましておめでとうございます!
ダメでした。
新年の抱負とか、2021年の振り返りは別でするとして、気を取り直して読書記録やっていきましょう〜
愛するということ
著:エーリッヒ・フロム
友達とオススメの本を交換し合うやつで読んだ一冊。
愛を「技術」と捉える筆者が、愛するとは何なのか、愛の種類には何があるか、愛するためにどんな練習をすればいいのか、について書かれた本です。
「愛するということ」というタイトルから、恋愛工学書の一種で、読めば今すぐ愛し愛されるようになると思うかもしれませんが、大間違いです。愛に関して論考した哲学書といったほうがイメージが近いかもしれません。
自分が一番感銘を受けたのは、「愛は能動的な感情≒”行動”である」という主張です。
本書では(正確にはスピノザの引用ですが)、感情は「能動的な感情」と「受動的な感情」と分けられ、前者は「行動」、後者は「情熱」である。と書いてあります。
強い不安に駆り立てられた行動、羨望・嫉妬・野心・貪欲によって起こされる行動は、全て情熱=受動的な行動であり、自分の意志ではないという主張でした。
これは僕が思っていたことと正反対の考えで、凄くショックを受けました。最近は仕事でも、「みんなは何を原動力として働いてるんだろう」と考えることがあり、情熱を受動的な感情と捉えている主張は衝撃でした。
(話がそれましたが、対する愛は能動的な行動であると記されています。)
あと、この本が1959年に日本語訳が出た本というのが更に衝撃でした。60年以上前の本で、こんなに示唆に富んだことが書かれているのってめちゃくちゃスゴい。。。ただ時勢的にキリスト教の思想が強く出ていたり、ジェンダー観が古い部分はあり、苦手な人は苦手かもしれません。
偶然の聖地
著:宮内悠介
マッッッヂで面白すぎる!!!!!!
SF好きと、ちょっとでもエンジニアリングやったことある奴は全員読め!!!!!!!!!!!!!!
ちょっとあらすじを噛み砕くのが難しいので、Amazonのあらすじを引用します。
このあらすじは正に物語の魅力なのですが、僕が好きだったのは世界をデバッグする世界という設定と、一見関係ない4組の旅人たちが複雑に絡み合ってくる群像劇としての完成度がめちゃくちゃ高いと思いました。
そして何より設定のバラシですよね。。。
本書は現実の地続きの世界のように描かれていて、実際の地名や時事ネタも多数出てきます。そこに「おかしな出来事」が出てくるので一瞬脳がバグります。この「一体どこまでが現実で、一体どこからがフィクションなんだ」というゆらぎと、そのバラシが僕はめちゃくちゃ好きなんですよね。。。
あと本書は文庫版だと特殊なレイアウトになっていて、小説の上下にミニコラムのような形で注釈が入ってきます。これが現実とフィクションのゆらぎに一役買っているような気がします。
普通に「ごめんなさい、この単語言いたかっただけです」みたいな注釈も入っていて、著者の人間性も楽しめます。
だれでもデザイン 未来をつくる教室
著:山中俊治
ご存知、山中先生が中高生向けに実施したデザインの授業の内容を、書籍に起こしたものです。
僕自身デザインに触れてからもう8年が立ってしまっているのですが、初学者への授業ということで、この本には「デザインのだいじな部分」がたくさん詰まっていて、初心を思い出すという点でもとても勉強になる本でした。
いや〜、けどやっぱプロトタイプって大事だよな〜!紙の上だけじゃなくて、プロトタイプやりてえな!!って気持ちになった一冊でした。いい本。
tattva vol.3 特集:はたらきがい
3ヶ月前くらいにvol.1を読みましたね、ポストコロナのビジネス&カルチャーブックtattva。それの第3弾です。
vol.2 はあんま惹かれなかったので読みませんでした。
こういう雑誌系って、往々にして目当てで買ったのより、偶然読んでみたコラムの方が面白いですよね。
僕の場合は、ブルシットジョブの作者とブライアン・イーノの対談が面白そうだなと思って買ったのですが、記憶に残っているのは終身雇用を目指すホストクラブ経営者のインタビューと、ペイドワーク/アンペイドワーク・生産労働/再生産労働についての記事です。(2つは別の記事ですが、似た概念で印象に残っているのでまとめました)
自信の興味から外れた「面白さ」に出会うために、こういった雑誌形式の本も読んでいくのは良いことですね。。
はい!あまり読んでなかったな。
年始の旅行で2冊読んだので、12月は実質2冊でしたね。まあそんなこともあるね。
また近々2021年のまとめと2022年の抱負のnoteを書くと思うので、そちらでお会いしましょう!誰か書かなかったら全身に電流が流れる装置を作ってくれ〜!