VRでお掃除ロボットと散歩にいく。【#21】
今日は「MoveVR: Enabling Multiform Force Feedback in Virtual Reality using Household Cleaning Robot」という研究について。
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VR/ARの会社を始めながら大学院生をしています(@iwhododo)。
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この記事のまとめ
MoveVRは「触覚フィードバック」に関する研究
家庭用のお掃除ロボットを制御して実現
多様な力の表現・よりリアルで楽しい感覚を提供可能
お掃除ロボットを使用した触覚フィードバック
VR HMDを被って行うゲームやシミュレーションは、視覚にこそ大きな影響を与えますが、触覚や聴覚といった他の感覚と組み合わせることでリアリティがずっと増して体験の質が大きく向上するものです。
VRに限らす、五感の組み合わせがリアリティに繋がっている体験は身近にも多くあります。例えばiPhone7、8、SE(第2世代)のホームボタンは凹んだり出っ張ったりしていません。実は「Taptic Engine」と呼ばれる仕組みを採用し、あたかもボタンを押して凹んだような振動を指に伝えているバーチャルなボタンなのです。この仕組みはApple WatchやMacbookのトラックパッドにも使われているため、知らず識らずの内に利用している人も多いはず。
Apple製品に限らず、Androidのスマートフォンやタッチパネルなどでも視覚と音、触覚(振動)といった五感の組み合わせによって、無意識のうちに「ちゃんとボタンを押した/反応した」というフィードバックを私たちは感知しているのです。
これまでにも触覚を与えるために、数多くの手法が試みられてきました。
例えばドローンや、液体とチューブや、コントローラーを繋いだハンドルなど、枚挙に暇がありません。
ただし実用化には触覚の再現度だけでなく、コストや壊れにくさといった要素も必要不可欠です。
「MoveVR」はお掃除ロボット・ルンバを使用して複数の触覚フィードバックを可能にした技術。普及し始めている既存の商品を利用することで、安価に上質な体験を提供しようと意図されています
システム構成
システム構成は図の通り。VR HMDのHTC VIVEと手の位置を推定するトラッカーを装着。お掃除ロボットのiRobot Create 2には、その位置と方向を追跡するHTC VIVEのコントローラーが取り付けられています。ロボットの動きの制御にはRaspberry Piが用いられています。本来は手にもって操作するコントローラーをロボットに取り付ける点などは独創的で柔軟な発想です。
4種類のフィードバックを再現
今回再現を試みたフィードバックは「Tension(張力)」、「Resistance(抵抗)」、「Impact(衝撃)」、「Material Rigidity(剛性)」の4つ。
例えば「Tension」によって魚釣りの竿や犬を散歩するときのリードが引っ張られる感覚を外的刺激として再現しています。
研究チームは国際的
MoveVRは複数の機関が共同で進めた研究で、そこに名を連ねるのは中国の清華大学やワシントン大学、Microsoft社など錚々たる面々です。
「MoveVR」のようなユニークな研究にも取り組めるのがHCI(Human–computer interaction)研究における魅力のひとつでもあります。
CHIは世界有数の国際会議ながらユニークな論文や発表も多く、この「MoveVR」のセッションも映画『STAR WARS(スターウォーズ)』のセリフ「May the force be with you(フォースとともにあらんことを)」になぞらえて「May the VR force be with you」とつけられています。
今回のCHI'20はオンラインでしたが、CHI'21は横浜で開催予定です。
結論:「MoveVR」3つの貢献
「MoveVR」は次の3点で貢献したと述べています。
1. お掃除ロボットを用いたフィードバックの再現
2. 4種類の力の表現が可能
3.よりリアルで楽しいVR体験を提供可能
VR/ARとロボットの相互作用
先日はARによって本物のペットを飼っているような未来が実現できるという旨をこちらのnoteにまとめましたが、VRの取り組みもユニークです。
IoT、デジタル化が進んだ将来はルンバやBoston Dynamicsのロボット犬「Spot」を街中や家で見る日常がやってくるかもしれません。
特にVR/ARとロボットがそれぞれの強みを活かしながら見た目や機能といった弱みを補い合うことで一層進化の速度が増していくと期待されます。
World Maker Inc.について
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過去のnoteはこちらにまとめています。
出典:YouTube. ACM SIGCHI. MoveVR: Enabling Multiform Force Feedback in Virtual Reality using Household Cleaning Robot.
DOI:: https://doi.org/10.1145/3313831.3376286
会社のみんなとドーナツ食べます。