
満点の料理を目指すことをやめた理由
ある飲食店の経営者が、こう語った。
「美味しい店を目指すのをやめたから、長く続けられた。」
その会社は、特徴を活かした複数の店舗を持ち、30年近くも営業を続けている。経営者はさらにこう言った。
「飲食業は好きだけど、自分は職人ではない。」
「もし職人だったら、美味しさを追求しすぎて失敗していた。」
「美味しい店を目指さないと決めたから、継続できた。」
この言葉の真意をすべて理解できたわけではない。僕はこう推測した。「100点満点の料理を作ることではなく、誰に何をどうやって届けるのかを再現性高く改善、継続することが重要だ」と。
どんな料理が出てくるのかをお客様に分かりやすく伝える。見込み客や常連客に対し、必ずしも「美味しい」だけでなく期待を超えるサービスや料理を提供する。そして、再び足を運んでもらうための導線を丁寧に作り上げる。それこそが、飲食店の成功を支える「マーケティングの本質」なのだと感じた。
この話から、マクドナルドの成功を思い出した。
なぜ、マクドナルドはここまで世界中に広がったのか?
マクドナルドのハンバーガーは、「絶品」とはいえない。その強みは「顧客にとっての便利さ」にある。
マクドナルドが人気を得た背景には、アメリカでの商習慣の変化がある。ハンバーガーチェーンは他にも多く存在していたが、マクドナルドは一歩先に進んだ。ひとつは、食器を使わず包装紙で食べる画期的すぎるファーストフードのシステム。そして、車社会に対応した「ドライブスルー」という新しい食事スタイルの提案だった。車の中で手軽に食べられるという仕組みを作り、時代が求める「便利さ」を提供した。
飲食店経営者の話とマクドナルドの成功には、共通点がある。「完璧を目指さずに、顧客にとって価値ある体験を再現性高く提供する」という視点。
どちらも「美味しさの追求」だけを目的にするのではなく、「誰に」「どんなシチュエーションで」「どのように届けるのか」を徹底的に考え抜き、顧客の期待に応えている。
「美味しさ」は成功の要素の一部に過ぎない。鍵は、顧客の生活や価値観に寄り添って、わかりやすくて続けやすい仕組みを作ること。
「♡」は、誰でも(noteにアカウントを作っていない方でも)押すことができます。この投稿を「いいな」と思った方は、気軽に押してもらえると嬉しいです。もちろんフォローも嬉しいです!