【Sandoll×イワタ】韓国訪問記 PART.1
いつもお読みいただきありがとうございます。
いきなりですがここはどこでしょう?
こちら海を越えたお隣、韓国ソウルのSandoll社の入ったオフィスビルです!
Sandoll社は「SandollCloud」という韓国最大のフォントサブスクリプションサービスを運営する大手フォントベンダーです。そしてこの度イワタがSandollCloudへの書体提供を開始したため、気温はマイナスだという冬の韓国へ2泊3日で表敬訪問しました。
みなさんの温かい歓迎、美味しい食事、そしてなにより学びの詰まったワークショップと、それはそれは……もう……仕事であることを忘れてしまいそうなほど楽しかったです!これから全3回に分けてその様子をご紹介します。
初回はSandollオフィスと韓国での食事についてです。
文字やデザインについてじゃないの?とお思いの方、ご安心ください。
博物館と見紛うほどたくさんの文字資料が展示されていました。
今回は写真が多いので、ざっとスクロールでお楽しみいただくのもどうぞ。
1. 参加メンバーとスケジュール
まず簡単にイワタからの訪問メンバーとスケジュールです。
2. Sandoll社内ツアー
それでは訪問時と同じようにSandoll社のご紹介から入りたいと思います。
みなさんもどうぞツアーに参加者した気分でご覧ください。
Sandoll https://en.sandoll.co.kr
◆1984年 創業
それまでハングルの活字は日本から購入していたが、自国の文字は自国で作ろうとソク・クムホ氏(現議長)が会社を設立。
オフィスは一軒家からはじまり、社名には
San 生きている + Doll 石 = 変わらない心
という当時からの思いが込められている。
◆2014年 韓国国内初のフォントサブスクリプションサービス「SandollCloud」の開始
これにより会社は急成長し、今では業界No.1!
企業理念には “WE SUPPORT FREE EXPRESSION” を掲げ、通常の販売だけでなく、小中高校やスタートアップ企業が無料でフォントを使用できる支援サービスや、大学生へのCANPUS(Can+Campus)キャンペーンなど社会貢献活動も行っている。
現在の社員は約70人ほど。部活動や海外でのワークショップなどオフィスに留まらない活発な印象を受けたのですが、とくに気になったのは定期的に会社の外で会議を行うという取り組みです。普段と異なる環境で発想がより柔軟になりそうですね。イワタもやってみませんか…!
ではさっそくオフィス見学へ。
まず外の壁面には大きなSandollの文字。
実はこの赤い部分、過去から現在までの社員全員の名前と在籍期間が書かれているんです。ひとりひとりがSandollをつくっているのだという社員への愛情を感じます。
入口にはイワタのフォント「みんなの文字」でメッセージが!お心遣いが嬉しいです。
中に入るとハングルの子音「ㄴㅇㅅㅌ」で構成された大きなオブジェがお出迎え。Robert Indianaの「LOVE」のオマージュ作品ですね。
そしてその後ろに広がる貴重な資料の数々…!
エントランスの奥にはベントン彫刻機が飾られていました。当時の岩田母型の社長、髙内一氏を通して日本からSandoll社へ贈られたものです。
隣には大きな活字棚。
書体設計の道具や原字から組むための機械まで、様々な時代の資料が解説とともに展示されています。
エントランスと執務室を繋ぐ廊下には圧巻のタイプライターの壁。
ハングルは子音と母音の組み合わせで構成されるので、該当のパーツを順番に打ち込むことで文字ができあがります。子音と母音の組み合わせのさらに下にくる「パッチム」も左下の専用のキーを押して入力できます。
反対側には昔のデザイナー김진평氏(キム・ジンピョン)のデスクを再現したスペースがありました。横に飾られた筆書のスタイルは「Sandoll 칠성조선소」としてフォント化されています。
さて、資料以外ももちろん充実しています。
スライド発表でお借りした広くて明るい多目的ホール。
驚きと共に羨ましく思ったのが整体の施術室と、カフェもといバースペース。予約制で整体を受けられるそうで、なんて社員思いの会社なんでしょう…!飲食スペースにはお酒がずらり。韓国は酒豪が多いと聞いていましたが噂に違わぬようですね。もちろんコーヒーやお茶などの一般的なカフェコーナーもありますよ。
他にも応接室や会議室など大小様々な部屋がありましたが、各所にアート作品が飾られどこを歩いても明るく華やかでした。
ツアーの終点はデザインチームの執務室です。
最近でははじめからデジタルで作り始める人も多いと伺いましたが、やはりこちらにも原字、本、雑誌、新聞などたくさんのアナログな資料が並べられていました。
デザイナーは2、30代が多く、書体デザインのスクールに通ってから入社する方が多いそうです。このスクールとは美術系学校の特定の授業などでなく、より専門的に学べる場所があるようです。日本だと字游工房の鳥海修さんによる「文字塾」を思い浮かべますが、もっと数が多いのか、韓国文字事情がさらに気になります。
イワタもオフィスを改装してより働きやすくなりましたが、岩田母型時代の大型の機器は手元に残っていません。Sandoll社は近代的なオフィスでありながら大小問わず古今の資料が集まり、そのスケール、素材感、仕組み、そこから生まれる線や形の違いなどを、いつでも実物を見て触れて学ぶことができるという大変魅力的な環境でした。
3. 満腹必至の韓国グルメ
後半は業務外のお土産話として現地での食事をご紹介します。
今回デザイン部に観光の時間がないことなど気にかけてくださり、少しでも街中や日常の様子を知ってもらえたらと朝昼晩全てをSandoll社がセッティングしてくださいました。とくに理事のキム・スンヒョンさんがグルメで、日本へ訪れた際も日本人も知らないような隠れた名店を案内してくれたそうです。
まずお店ではお通し感覚でキムチなどのお惣菜が出てきます。
これらはおかわり自由!日本あるある「最後の1つ」を気にせず食べられます。キムチはほぼ毎食食べるので、多くの家庭にキムチ専用冷蔵庫があるそうです。白い漬物の方が辛く驚くこともありました。
どちらも韓国の一般的な朝食だという温かいスープです。ダシの効いたやさしい味で、ご飯やキムチなどを入れて味変を楽しむもOK。ワカメ、魚介、肉など種類も豊富でした。朝食は2軒とも観光では通らなそうな横道にあるお店で、キム・スンヒョンさんのチョイスに間違いなしです。
そして欠かせないのが辛いものですね。次から次へと食欲をそそる料理が並びますが肉も野菜も辛いものづくし!どれも日本人も好むような味付けで箸が進みます。韓国にも辛味が苦手な人はいるので、そういう方をスラングで「맵찔이(メッチリ)」と呼ぶそうです。
お酒が好きな人が多く、さらに食事中に何度も乾杯をする文化があります。営業の杉山は以前これで痛い目を見たのだとか…健康第一です!
マッコリやビールの他にも、焼酎をビールで割った「소맥(ソメ)」もよく飲むそうです。それぞれを注いで混ぜる際、勢いよく箸同士をぶつけて渦を作っていました。これにはコツがいるみたいです。
こちらはお昼の鍋料理。ランチに鍋も普通だそうで、店内は賑わっていました。辛いお鍋をポン酢でいただくのもまた美味しい。
2日目の夕食は代表&営業メンバーとデザイナーとでそれぞれ別のお店へ。どちらもサムギョプサルや冷麺など定番料理もしっかり堪能しました。次々焼かれるお肉…贅沢なひとときでした…
ここ最近日本に入ってくる韓国料理はチーズを使ったものが多いイメージでしたが、それらも若者向けのお店を中心にあるそうです。
温かいスープにたっぷりの野菜や発酵食品と、食生活がとても健康的に感じました。老若男女肌つやがよいのにも納得です。韓国の方にはそれが日常なので、わざわざ「健康のために野菜を摂らなきゃ」という感覚にはあまりならないのだそう。ただし「塩分の取り過ぎには気をつけてね!」とのことです。
まだまだ写真は尽きませんが長くなってしまいました。
とにかくどのお料理も美味しく、食事の時間になるのが楽しみでした。
お腹が空いたら韓国の方もお墨付きの新大久保はどうでしょう。
次回はハングルと日本語の書体制作ワークショップを中心にご紹介します。
気長にお待ちいただければ幸いです。또 봐요!