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クリティカル・シンキングとの出会い 【 考える力・方法 】

#人生を変えた出会い

というには、大袈裟かもしれませんが、大人になって、私の考え方を大きく変えてくれた「学習」がクリティカル・シンキングでした。

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♦ クリティカル・シンキングとは

 社会人大学院にて経営学を学ぶ一環で、半年程、クリティカルシンキングの講義を受講していました。

 クリティカルシンキングとは直訳すれば、批判的思考。物事を考えたり、議論する際に、事実をただ受け入れるのではなく、本質を見抜く、最適な策を問い続ける、多角的に判断する。そんな思考法の話です。

一般的な図解を用いると、

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1 まず、目的を明らかにする。

 イシュー(疑問)と言いますが、物事を考えるうえで、出発点と終着点は同じ。「何を明らかにしたいか」です。この目的をしっかり見極めることが、出発点であり最重要事項。文章を書いていても、最初述べていた内容が、途中でなんだか方向が変わってしまい、「何を言いたかったの?」というケースがあります。思考も同じで、何を解決したいのか、その軸を常に意識することが重要といいます。

2 思考のクセを前提に考える

 議論する際に、相手のバックヤードを理解しておくことは、相手からの提案を理解するために必要です。また、自分自身のクセ、すなわち自分がどういう思考の持ち主か、自己分析も行ったうえで論理展開する必要があります。これもはっきりしていない場合、「結局、キミは何がいいたいの?」となりやすいです。

3 問い続ける

 これはそのまま。イシューの解決のためには、あらゆる角度での分析、情報、思考が必要です。これも、「常に考える」思考のクセをつけようという意図でしょう。

 また、論理的思考法として今も私のベースにあるものが「ピラミッド・ストラクチャー」です。

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 これ。教授に何度も言われました。

「岩下さん、あなたの論理、正三角形になっていますか?」

と。

 論理の三角形とは、論理を構成する「情報(根拠)」と「思考」のバランスが良いか、という考え方。

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 今も仕事上、論理的な思考が必要となる場合には、恩師の「正三角形になっています?」という言葉が浮かびます。先生、ありがとう!

(学問にはとても厳しい先生だったので、当時は本当に苦労しましたが、鍛えられました。)

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♦ ワタクシゴト

 私は、もともと、そこまで素直ではなく、わりとトリッキーな発想をすることが好きでした。人と違う見方をしたい、みたいな。だから、昔は結構クリティカルシンキングを自己流でやっていたのだと思います。

 しかし、大人になり最大の転機。税理士試験!

 税理士受験をして、まぁ頭が凝り固まりました 笑

 税理士試験は、弁護士のように論理的思考を問う傾向ではなく、わりと旧型な暗記重視な試験。しかも法律系の資格ですから、受験生としては、「法律が絶対」という大前提のもと、知識をつけます。

 法律を疑わないこと。法律を全て受け入れること

 こんな意識で数年過ごしていると、本当にいつしか「他人のいう事を鵜呑みにする癖」がつき、また、変に自分に自信もついてきたことで「信念も頑固」で柔軟性がない状態になりました。受験に全力だった分、この頃は、受験以外の本も読んでいなかったし。面白みのないスポンジボブの出来上がりです。

 でも自分では気づいていなかったのです。だから、クリティカルシンキングの講義を受講した頃、本当にショックでした。私は柔軟な発想が多少はできるタイプだ!と思っていたら、惨敗。視野も狭いし、発想力が乏しい。毎回、クリティカルシンキング用の例題が与えられ、自分なりの答えを作っていくのですが、もうそのことばっかり考える日々でした。それでも良いものがでない。

 ただ教授に言われました。

「岩下さんは鈍っていますね~。でも、ポテンシャルはありますよ。要は筋トレと同じです。昔バリバリ運動していた人も、ずっとさぼっていたらできません。」

 この頃にこの思考法に出会えて、また講義を受けられて心底良かったと思います。

 以下の本も良いですが、やはりクリティカル・シンキングは、自他の思考のクセを見抜くという意味でも実践する場があったほうがいいと思います。ですので、もし、こういった思考法の学習を検討している方は私のように、講義やセミナー等、体感できる環境を検討した方がよいかもしれません。(私も、その後、復習気分で関連書を読むのですが、やはり講義でディスカッションした時の感覚には勝てません)。


♦ noteについて

 今は、このクリティカル・シンキングの学習のお陰で、リハビリも続け、新聞でも本でもnoteでも、たくさんの「?」を浮かべられるようになりました。

ん?ちょっと待てよ。この結論に、この理由は強引すぎないか?
このデータは、結論ありきで、もっと掘り下げていけば違う結果になるんじゃないか?
そもそもこの記事の真の目的(イシュー)はなんだろうか?最も重要なところは何だろうか?

 わりと素直だったスポンジ気質な性格も、この批判的思考を鍛えることで、多少「ひねくれ気味」になりました 笑。でも、それは良いことだと思っています。特に私のような専門職であれば、やはり頭脳を人一倍、深く深く活用する必要がありますから。

 noteも、そんなに堅苦しくなく気ままに書こう!というスタンスですが、発信する以上、論理の三角形を意識しています。

 このnoteを書くために、クリティカルシンキングを受講していた頃のノートを読み返しました。過去の自分には申し訳ないですが、「頭固いな」と笑ってしまいました。表現ではなく、普通に溜息付きながら、笑いました。

 今も固いには固いのですが、多少成長できているかな。

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岩下 尚義(税理士)
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