乳幼児を連れた長距離移動の注意点【帰省・旅行前必見】
こんにちは。
岩間こどもクリニック 院長の岩間義彦です。
今年2月から書きはじめたnote記事ですが、たくさんの方からコメントやスキをいただきました。本当にありがとうございます。
年末年始を控え、帰省などでお子さんを連れて長距離移動を計画しておられる方も多いと思います。
今回の記事では【乳幼児を連れた長距離移動の注意点】というテーマに小児科医の視点からフォーカスしていきます。
【長距離移動・準備編】
<無理のない計画を立てる>
乳幼児を連れて長距離を移動する場合は、体調に合わせた無理のない計画を立てることが大切です。乳児の場合、首が据わる生後4カ月以前に長距離移動をするのは、お勧めしません。
年末年始はインフルエンザなどの感染症も流行しています。当日になってお子さんの様子がいつもと違うなと感じたら、取りやめる勇気も大事です。
旅行中も、お子さんの体温や顔色など健康状態をチェックしましょう。
何かあった場合に備えて、目的地周辺で受診可能な小児科をはじめ医療機関を調べておくと安心です。年末年始は休日診療も多いですから、事前のチェックが重要になります。
長距離移動を決めたら、まず交通手段と休憩場所を確認しましょう。
高速道路を自家用車で移動する場合は、ベビーベッドのあるトイレや授乳室が、どのサービスエリアにあるかを確認してください。
飛行機や新幹線など公共の交通機関を利用する場合は、空港や駅のトイレや休憩室があるので安心です。この場合も出発時間に合わせて余裕をもった計画にすることが重要です。
<荷物は最小限に>
長距離移動を考えると、つい荷物が多くなりがちです。
特に飛行機や新幹線・鉄道など公共の交通機関を利用する場合は、最小限に抑えたいものです。
長距離移動の目的が帰省ならタオルなど借りられるものはもっていかず、かさばるものは宅配便で送るのもいいでしょう。
とはいえ、お子さんのお気に入りのものは、なるべく持っていくといいでしょう。いつもお子さんが使っている毛布や離乳食用の慣れたスプーン、お気に入りのおもちゃなどです。
移動中も目的地に着いてからも、お子さんが機嫌良く過ごしてくれれば、ママさんやパパさんもリラックスして旅を楽しめます。
またお子さんの常備薬のほかに以下のような医薬品をもっていくと安心です。
・解熱剤
・グリセリン浣腸
・虫刺され・湿疹用の軟膏
解熱剤はかかりつけの小児科医に処方してもらうとよいでしょう。
<帰省先にも受け入れ準備をしてもらう>
長距離移動の目的が帰省の場合は、事前にお願いして、お子さんが過ごしやすい環境にしてもらいましょう。アレルギーのあるお子さんの場合は、寝具に注意が必要です。
長時間収納したままの寝具は、一度干して掃除機をかけてもらうようお願いしてください。
帰省先に喫煙者がおられる場合は、お子さんがいる間だけでも室内での喫煙は避けてもらまいしょう。煙草の誤嚥・煙による咳や喘息発作、やけどを防ぐためです。
また、生活習慣の違う帰省先では思わぬ事故も起きがちです。
風呂の残り湯に幼児が落ちて溺れることもあります。テーブルクロスや乳幼児の手の届くところに置いてある小さなものも事故の原因になります。
【長距離移動・実践編】
<自家用車による移動>
自由に行程が選べる自家用車による移動は、赤ちゃんの生活リズムに合わせた計画が立てやすいのがメリットです。
自家用車での移動では、チャイルドシートの利用が前提です。
中にはチャイルドシートが苦手のお子さんもいるでしょう。嫌がって泣いてしまうと運転に集中できず、ママさんパパさんが疲れてしまいます。
お気に入りの音楽をかけたり、おもちゃで遊んであげたりするのもいいですね。
移動距離にもよりますが、お昼寝の時間を選んで出発するのもひとつの方法です。
また長時間チャイルドシートを利用することになるので、きちんと取り付けられているか、出発前に確認しておきましょう。
寒い冬の季節も車内ではエアコンを使うことが多くなります。サービスエリアで休憩するときなど、定期的に換気をすることをお勧めします。
自家用車での移動の場合は、比較的持ち物を多く持っていけます。
大小のビニール袋を用意しておくと、車内でおむつ替えをしなければならなくなったときに便利です。
大きなビニール袋はおむつ替えシートになるし、小さな方は汚れたおむつの収納につかえます。
<鉄道による移動>
新幹線や在来線の特急など、長距離を移動する鉄道を利用する場合は、事前に予約するのが鉄則です。車両によっては個室や授乳に利用できる多目的室があるので、よく調べてから余裕をもって予約しましょう。
子ども連れの場合は、トイレに立ったりぐずったお子さんをあやしたりなど、席を立つことが多いものです。そのため座席の位置は、通路側で前後の出入り口に近いと便利です。
大きなターミナル駅には、授乳室やおむつ替え用の台を備えたトイレもあります。授乳やおむつ替えは車両の中でするのではなく、乗車前に済ませておくと安心です。
そのためにも鉄道での移動の際は、出発駅や乗換駅に余裕をもって到着できるように計画を立てましょう。
大きな荷物をもっている場合が多いので、改札口からホームへ向かうルートも事前にしらべておくといいでしょう。お子さんを連れてエレベーターやエスカレーターを探して歩き回るのは避けたいものです。
鉄道のホームは外気にさらされていることが多く、小さなお子さんには厳しい環境です。なるべくホームでの待ち時間が少なくなるように計画を立ててください。
特に寒さの厳しい地域へ移動する場合は注意が必要です。
<飛行機による移動>
乳幼児が飛行機で長距離移動する場合、小児科医としてまず気になるのは、耳抜きです。飛行機が離陸して高度を上げると耳がキーンとしたり痛くなったりします。着陸するときも同様です。
大人は耳抜することで解消できますが、乳幼児の場合は自分で耳抜きすることができません。耳抜きができないと鼓膜に傷がついたり破れたりすることがあるので注意が必要です。
対策として、授乳させたり、哺乳瓶やマグなどで水分補給をさせたりすれば自然に耳抜きができます。飛行機に乗るときは哺乳瓶やマグをバッグの上など取り出しやすい場所に入れておきましょう。
おしゃぶりをくわえさせておくという方法もあります。
フライトのタイミングに赤ちゃんのお昼寝を誘導することもおすすめです。
睡眠中はリラックスしているので気圧の変化もあまり気にならず、自然に耳抜きができるようです。
飛行機の場合、各航空会社が様々なサポートを用意しています。
[ANAの例]https://www.ana.co.jp/ja/jp/guide/reservation/support/domestic/family/
こうしたサポートを利用することで、家族みんながリラックスでき、楽しい旅ができることでしょう。
<長距離移動・急病対策>
子どもは急に高熱を出したり、嘔吐したりすることがあります。
特に長距離移動は普段と違う環境であり、なおさらです。
いざという時に役立つサポートをまとめておきますので、ぜひ参考にしてください。
特に電話相談窓口は、携帯電話に登録しておくことをおすすめします。
T-PEC(医療機関検索)
https://t-pec.jp/hospital/
休日・夜間診療の医療機関を検索可能で、12月31日~1月3日の4日間には「年末年始当番医検索」も可能になります。
「#7119」東京消防庁救急相談センター
今すぐ救急車を呼ぶべきか、病院に連れて行ったほうがいいのかの相談に乗ってくれる電話窓口です。短縮番号「#7119」から電話できます。
「#8000」小児救急電話相談
休日や夜間の急病にどう対応したらいいかを、小児科医・看護師に電話相談できるサービスです。短縮番号「#8000」から電話できます。
今回の記事は以上です。
いつもご覧になっていただき、ありがとうございます。
育児に向き合うママ・パパの参考になりましたら幸いです。
岩間こどもクリニック
院長 岩間 義彦
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
©Iwama-Clinic
※note内では個別のご相談・ご質問に対応することが出来かねます。何卒ご了承ください