中2の夏

ずっと遊んでた中2の夏

楽しかった中2の夏

何も考えてなかった中2の夏

ずっと笑っていた中2の夏

何で僕は人と同じようにできないんだろう、何であの人たちみたいにたくさんの人の輪の中ではしゃげないんだろう、何であいつみたいに女の子に好きになってもらえないんだろう、と自分も人も恨んだ18の春

勉強なんて忘れてた中2の夏

将来のことは上の空だった中2の夏

好きな子は好きなだけでよかった中2の夏

毎日同じ景色でも平気だった中2の夏

何もできないのに何でもできる気でいた、何の努力もしていないし、技術も知識もないのに、自分だけはあんな疲れた大人にはならないと、自動的にならないようになっているという夢を抱いていた22の春

プールではしゃいだ中2の夏

公園で走りまくった中2の夏

夜のグランドでサッカーをした中2の夏

何もいらなかった中2の夏

自分が他の人より仕事ができないのは、社会人として未熟とか、努力が足りないとか、自覚が足りないとか、注意力が足りないとかではなく、他の人がおかしいからそれで問題ないとやり過ごしていた25の春

暑くても平気だった中2の夏

秋なんてこなくてよかった中2の夏

嫌なことなんて2秒で忘れた中2の夏

幸せなんて意識しなかった中2の夏

彼女は僕のどこが好きなんだろう、何で僕にこんなに真っ直ぐなんだろう、この先彼女がいない人生が僕にあるのかと、養える養えない関係なしで、一緒にいてほしいだけで、二人で生きていけると思った29の夏

頭がからっぽでよかった中2の夏

知恵もお金もいらなかった中2の夏

家があればよかった中2の夏

都会でも田舎でも関係なかった中2の夏

僕のひと差し指を手のひらでぎゅっと握る握はとても力強く、僕のひ弱で甘い気持ちをわしづかみにされているようで、またその子を育てる彼女の姿はとても勇ましく、その背中で僕の踏み出さない背中を押されているようで、僕の気持ちが少しずつ動かされている気がした31の夏




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