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“雰囲気でOKRをやっている” と感じたら読んでもらいたいnote
OKRに関するnoteをいくつか書いてたら相談をもらうことが増えてきた。
相談の多くは「導入してみたけど何だかうまくいかない…」というもの。多くの書籍でも書かれているようにOKRは何度か壁にぶつかって組織にフィットしていくものなので当然なのかもしれない。
そのため、“雰囲気でOKRをやっている” という状態が続きやすいものだと思っている。ただ、OKRそのものの考え方を改めてインストールしてみると案外うまくいくことが多かったので、そのポイントを書き出してみる。
OKRとは何か
公式的にはこんな感じだろうか
OKRとは?Objective and Key Result(目標と主な結果)の略称。目標と目標達成度を測る指標をリンクさせ、企業やチーム、個人が向かうべき方向とやるべきことを明確にする目標管理手法。1970年代にインテル社が採用し、グーグルやジンガなど、数多くのグローバル企業が採用している。
ひと言で言い表すと、「圧倒的に高い成果を出すために全社でひとつの目標に対してフォーカスしまくる」ことだと思っている。
ラリー・ペイジが「10%の改良ではなく、10倍優れたプロダクトやサービスを生み出すことを期待する」と口酸っぱく言ったように、フォーカスをして高い成果を出すことを目的にされている目標管理手法だ。
「従来の目標管理手法が何となくうまくいかないから」とか「流行ってそうだから」という理由でOKRに切り替えてみてもうまくいかない。
経営として大胆なチャレンジが必要で、フォーカスして圧倒的な成果を出す必要があるフェーズなのかどうか、じっくり考えて、全社で共通認識を持ってから導入することではじめて効果が発揮される。
全社から個人目標へブレイクダウンする
代表的な例でフットボールチームのGMが立てたOKRに対して、その下に立つ組織や個人がそれぞれのOKRを設定していくものがある。
GMが立てた「オーナーを儲けさせる」というObjective、「スーパーボールで勝つ」「スタンドの入場率88%」というKRに対して、ブレイクダウンして「人気プレイヤー2名と契約する」「パントリターンを平均25yd進める」などKRを設定していく。
OKRで特に重要なのは、“フォーカス”と“アラインメント” だ。それぞれがバラバラに目標設定をするのではなく、全社OKRを丁寧にブレイクダウンしていく必要がある。
ことスタートアップにおいては、できる限り階層は少なく、全員が全社OKRにダイレクトに関連する個人OKRを設定した方が効果的だと思う(フォーカスが何より重要なので)
"FAST" で目標設定をする
これは最近知った目標設定のフレームだけど、よく使われている "SMART" よりも "FAST" の方がOKRに対してはマッチしている気がしている。
FAST
Frequent / 頻繁
Ambitious / 野心的
Specific / 具体的
Transparent / 透明性
OKRにマッチする目標設定方法はSMARTではなくFASTかもしれない
— Shohei Iwata | HR at Mercari (@iwacciii) October 28, 2019
FAST
Frequent / 頻繁
Ambitious / 野心的
Specific / 具体的
Transparent / 透明性
SMART
Specific / 具体的な
Measurable / 測定可能な
Achievable / 達成可能な
Realistic / 現実的な
Timely / 期限があるhttps://t.co/pOpMdUZxt3
メルカリではもともと目標設定をする際にもバリューにある「Go Bold(大胆にやろう)」を意識することが多く、Ambitionsの要素を持っていたが、目標が「野心的か?」「大胆か?」というチェックはOKRを最大限活かすためにも必須だ。
Objectiveにはエモさが必要
“Objectiveは従業員が毎朝、わくわくしながらベッドから飛び出すようなものにしよう。(中略)そして、チームに合った言葉を使おう。「勝ち取る」や「刺さる」のようなくだけた言葉のほうが心に響くなら、そうした言葉を取り入れよう。”
ベッドから飛び出すまでいかなくても、毎日、できれば日々の会話の中で使いたくなるような、達成した状態を想像するとワクワクする言葉にしよう。従来の多くの目標管理のように、半年や一年後に「あれ、そういえば目標なんだっけ?」となるようではダメだ。
全社OKRであれば、3ヶ月後に会社としてなっていたい状態。チームであれば全社が向かっていきたい方向性とメンバー全員で達成したい、という目標とのアラインメントが重要だ。
進捗をオープンにして共有する
OKRの重要なコンセプトに “トラッキング” と “アラインメント”がある。
CEO以下全員の目標をオープンに共有し、進捗がトラッキングされ、都度アラインメントすることでObjectiveを達成していく。
共有の仕組みはGoogle Docs/Spread sheetsで最初は十分で、チーム/個人単位のOKRに対して週のPriorityを3つ〜最大5つに絞って設定、振り返りを行い、全社に共有していく。こんな感じでも十分に運用できる ↓
This quarter's OKR
Objective : xxxx
KR1 : xxxx (green / yellow / red)
KR2 : xxxx (green / yellow / red)
KR3 : xxxx (green / yellow / red)
yyyy/mm/dd - mm/dd
This week's priority / Result of this week's priority
(name / team)
P1 : mm/dd xxxx -> result
P1 : mm/dd xxxx -> result
P1 : mm/dd xxxx -> result
P2 : mm/dd xxxx -> result
P2 : mm/dd xxxx -> result
チーム全員分のOKRはひとつのdocsにまとめて、毎週「This week's Priority / Result of This week's Priority」という項目に、その週のプライオリティとその結果を書き出していく #OKR
— Shohei Iwata | HR at Mercari (@iwacciii) January 20, 2019
Week's priorityはOKRを達成するためにその週で必ず進捗させなければならないアクションの結果を3〜5つ設定する。数が多くなってやることリストになってしまっては✕。その週のフォーカスを決めることが大事。月曜がスタートする前に設定されていると◎ #OKR
— Shohei Iwata | HR at Mercari (@iwacciii) January 27, 2019
まとめ
OKRは運用してみてはじめて「こうした方がいいかも」「このやり方はうちとは合わないかも」というものがたくさん見えてくる。今でもそうだ(そういう意味では今も雰囲気なのかも)
だけどうまく組織にフィットさせ、活用することができれば大きなちからを発揮することができる。OKRの表面的な特徴だけを採り入れるのではなく、実際に効果を実感できるチームが少しでも増えていくといいなと思いまとめてみました。
(もし参考になったという声があれば運用編もまとめてみようかなぁと思います)
おまけ
反響をいろいろもらって嬉しいな〜と思っていたら、Coral Capital(Ex-Google) 西村さんのブログでまとめられてるOKR運用の考察が参考になりすぎたので貼っておきます。同意の嵐な内容だった。。
西村さんによるOKR運用の考察、めちゃめちゃ参考になる…
— Shohei Iwata | HR at Mercari (@iwacciii) November 5, 2019
“使い方を誤解してるとむしろ逆効果” すごく同意です。
OKR運用失敗の3つの理由
1:高すぎる目標、低すぎる目標
2:報酬を連動させる
3:Objective(目的)の軽視
+トップとマネジメントのコミットがない https://t.co/nICOjo8b8O
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