“上司”や“部下”という言い方がハラスメントの原因なのでは?
みなさん、こんにちは。井内 正博です。ご訪問いただき、ありがとうございます。
お困りごとファイル005は「“上司”や“部下”という言い方がハラスメントの原因なのでは?」です。
これは、お困りごとというよりは、モヤモヤすることだと思うのですが、実は以前から僕自身が気になっていたことでもあります。研修やセミナーでも、「“部下”とのコミュニケーションの仕方」とか「はじめて“上司”になる人が知っておくべき労務管理」という言い方を日常的にしています。これは「職場には上と下の関係がある」ということを示す日本独特の文化だと言われます。上下関係を明確にした方が職場の管理をしやすかったし、会社の業績にも寄与していたからです。
近年、職場のハラスメントがよく話題に上がります。みなさんご承知の通り、職場内で力(パワー)の強い者が、自分より力の弱い者に対して行うハラスメントのことを、一般的にパワーハラスメント(パワハラ)といいます。力には職位、年齢、経験年数、個人業績、持っている専門知識や専門スキルなどがあり、基本的にはこれらが強い方、大きい方、または多い方が加害者になりがちです。つまり、自分の「強み」の使い方を間違ってしまうとパワハラの加害者になってしまう可能性があるということです。
しかし最近では、弱い者たちが強い者に対して行うハラスメントも確認されています。たとえば、集団になってリーダーを無視するというような行為は、人数という力を使って行うパワハラと考えられます。
今朝のテレビ朝日『羽鳥慎一モーニングショー』で玉川徹さんが、この上下関係をあえて明確にする“上司”や“部下”という言い方がハラスメントを生む原因になっているのではないか? と仰っていましたが、私も全く同感です。“上司”や“部下”という言い方は、実はこれからの職場マネジメントではうまく機能していかないのではないかと思っています。
英語では一般的に、社長や経営者のことは “boss”、管理職のことは “manager”、社員のことはたとえば “engineer(技術者)” といった職種名や “member” などの言い方があるようです。部下のことは “assistant” という方がしっくりくるかもしれません。
“boss” は雇用主と従業員の関係性を明確にするための言い方で、日本でもこれはきっちりした方がいいと思っています。
研修では、どちらかというと “manager” と “member(s)” の関係性について触れられることが多いです。 “manager” が“member(s)” を上手にマネジメントして成果に繋げるスキルを学んでいくわけですが、テキストにはいまだに“上司”や“部下”という表現が使われています。“上司”や“部下”という表現に頼ると、どうしても職位という力を使ったマネジメントに逃げてしまう傾向があります。これは自分としても反省する点であり、可能な部分から少しづつ表現方法を変えてみようと思っています。
今まで使っていた言い方を新しい言い方にすると、なんとなく違和感があったり、照れくさかったりします。でも、言葉や言い方を変えることによって意識やイメージが変わっていくのも事実です。もし“上司”や“部下”という言い方を変えるだけで上手にマネジメントが出来るのであれば、一度やってみる価値があるかもしれません。
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