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落語に興味があるけどなにから手をつけていいか分からない人へー桂米朝「落語と私」ー

本文に入る前に、最後まで文章を読んでくださいなんてことは言いませんが、もし私のようにあなたも落語に興味はあるけどどこから手をつけていいのか分からないということであればこの本をおすすめします。是非、桂米朝の「落語と私」を読んでみてください。私はこの本に出会ったことによって落語の楽しみ方がグッと広がりました。教科書的一冊です。

では、以下、私の備忘録程度に文字を書いていきます。



みなさんは落語に興味はありますか?
私は落語について無知ながら興味があります。
今更興味があるなんて堂々と言うのも恥ずかしいです。
落語どころかお笑いにも疎い私です。
以下の文章は、落語に関するある本の感想となっています。
優しいお気持ちで読んでくれればと思います。

さて、本題です。
落語に興味はあっても、土地柄寄席に行けるようなところに住んでいないし、周りに落語の話をしてくれる人もいないし。
そもそも、落語ってどういうものなの?何から手をつければいいの?
踏み出したい一歩の一歩目さえどこに足を置けばいいか分からない状態でした。

そんな状態であることを、ぼそっとお話したところある本を頂きました。
それが桂米朝の「落語と私」でした。

基本の「き」も分からない私の復習ノートとして以下に書き留め、私の無知コメントも添えます。

京都、大阪など関西地方のことを上方と言います。京に都があったので、昔は上方と読んだのです。都が江戸へうつって東京となってからは、いわば東京こそが上方なのですが昔からの習慣で京、大阪の方を今でも上方といい、上方落語や上方歌舞伎、上方舞などと、とくに芸能方面にはよくつかわれます。

桂米朝 著 「落語と私」 以下、全て同書からの引用

上方というワード、落語の話の中や私の親愛なる獅子文六先生の話の中でも出てきます。でてくるにも関わらずきちんと理解していなかったです。

講釈師があくまで、講釈師として源七にについて語り、娘の状態を説明して話をすすめていくのに対して、落語家の場合は、源七のセリフを言うときは源七になりきってしゃべり、そのセリフを言いおわったとたんに娘になって、そのフリフをしゃべります。その設定された状態でのセリフを感情を、盛り込んで言うのですから、役者がその役の人物を演技しているのとおなじで、ただ絶えず役が変化しているわけです。したがって、源七の役からすぐ娘になり、すぐ、また、源七にもどりながら話をすすめてきゆきますから、演者自身は、消えてしまうということになるわけです。

講談と落語に違い全く分からなかった私にとって、こんなに大きな違いがあるのかと驚きました。

客席から見て舞台の右の方を上手と言い左の方を下手と言います。寄席の高座だけでなく、日本の芸なら芝居でも何のステージでもみなこう呼ぶのです。

芸人ラジオを聴いているとき、よく上手や下手というワードが耳に入ってきましたが、きちんと意味をわからずへへっと聞き流していました。

落語では視線、目の使い方というのはたいへん大事なことなのです。さっきの「こんにちは」「こっちへおあがり」のくだりでも、「おう」と来客の顔を見た時は、主客の間に距離があります。「まあおはいり」という間に、はいってくる客のすがたがあり、時間的にもわずかながらの間があり、間隔がしだいにせばまって、坐ってしまうと目の前の人物との対話になる。このうごきにつれて目のはたらきは変化します。

落語家は噺をしながらこのような細かい目線にまでも神経を通している。
落語家の話に引きづり込まれる理由の一つだと思いました。

人さし指を出して、物をさし示す場合でも、ちょっとした要領があります。お能の方に、謡いに少しおくれて、動作をおこす…という教えがあるそうで、たとえば「月」という謡をきいてから月をさし、「花」ということばが発せられてから花をみる。落語の場合もそれといっしょで、「火鉢」と言ってから指をだせば、お客さんには、その示された場所に火鉢が見えるわけです。

このような技法を知らず、まんまと私は落語家の噺に入り込んでいたのですが、このような工夫をして客にどう伝えるかということを探究していることを知ると落語家の所作が全てかっこよくて更に落語に興味を持てました。




だらだらと引用を使って記載してしまいましたが、もっともっと書きたいことは沢山あります。出囃子や寄席のはなしも面白かったし、桂米朝という人間国宝である偉大な方の落語への愛情を強く感じ、時代を超えて全くの無知な私にも目線を合わせて丁寧に落語について教えてくれました。

この本に出会えて本当によかった。
最後に。

落語とは、落としばなし、話を落とすから落語です。その「おとす」という言葉はなんらかの理屈で「なるほど」と合点させ、はなしの世界から現実へひきもどす。これが「おとす」なのです。

やっぱりかっこいいな落語。




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