「繊細さん」の幸せになる方法 ⑦ 線が太くなる(小説あり)
*****************************
4歳の男の子が、家に来た。
お母さんの病氣が見つかったのと、お兄ちゃんとお姉ちゃんの受験のことでお母さんが大変なので、しばらく預かると決めたらしい。
お父さんは声が大きく、身振り手振りが大きい。こんな時でも、たまに笑顔も見せている。
一緒にいる男の子は頭のよさそうな顔はしているけど、ボーっとしているような、生氣のないような、何を考えているのか分からない。
とにかく大きいお父さんの声。怒ってないけど、「返事をしなさい」等と言うときは、たまにイライラがにじんでいる、ようにも聞こえる。
ああ、なんか、切ないな。。。
自分の子供の時に重なるな。。。
・・・イライラする。
うちで、しばらく預かるらしい。
龍之介というらしい。名前が強そうだ。
龍之介は、誰とも目を合わせようとしない。
「私は知らないよ。」
「勝手に預かったんだから、勝手にやりなよ。」
「私に迷惑かけないでね。」
と、いう言葉を飲み込んだ。
世のため、人のため、か。。。※1 「生き方」稲盛和夫より
今まで、
「〇〇だからやらない」
「何か言われて、嫌だからやらない」
「こんなこと言われて、きまづいからやれない」
で、結局、やりたいこともやりたくないことも、ことごとく、何もやらないで、正当化してきた。
逆に
「ここに置かないでよ!」→ 置く
「ちゃんと片付けてよ!」→ 片付けない
「手伝って!」→ 手伝わない
「なんで、黙って行っちゃうの?」→ 愛想悪い
「怒ってる?」→ 氣を使わない
「太っちゃうよ!」→ 食べちゃう
やりたいことは、なんと言われてもやっていた。
誰かになにか言われたから、やれなかった。は、間違いだった。
自分で、取捨選択していた。
だったら、やりたい、と思ったことで、笑われても、変だと言われても、やったほうがいいじゃん。と、お腹の底に、ストンと、落ちた。
本を読み終わった次の朝、そんな思いが沸き上がってきた。
誰かに言いたくても、うまく言葉にならない。
何か、ワクワクして来る感覚。
そんなことを思い返していたら、龍之介のお父さんが帰るところだった。
龍之介のお父さんは元氣で明るく社交的で、声が大きく、大股で歩く人だ。
なんか、母に似てるよなー。それで、龍之介は・・・
「お父さん、いい人だよねー。ハッキリしててさ。あれはエリートだよね。お兄ちゃん、お姉ちゃんたちは優秀だからねー。」まったく悪氣のない母。
出た。
自分「は」優秀、他の子どもたち「は」優秀。・・・はいはい。
「でもさー、あんたたち、なんか似てない?」と、龍之介を見ていて、母が笑いながら言った。
ギクリ。ドキッとして、冷や水をかけられたように感じた。
「なんで、そんなこと言うのよ!!」
「いつもいつも、お母さんは!」
カーーーッと、頭が真っ白になった。
「なんでそんなことで、急に怒るの?変な子だね!」
「変な子?はあ?自分が何言ってるのか、分かってんの?」
「変だから、変ていっただけだよ。急に怒りだして。」
「お姉ちゃん、やめなよ。お母さんだって悪氣があったわけじゃないんだから。」妹がとりなそうとする。
「うるさい!何にもわかってないのに!」
「だって、お母さん、別に悪くないよ。それに、龍之介が驚いてるよ」
「なんなのよ!もういい!!」
「なに、また有希をイジメてるの、やめてよ。」父が来た。
母の頭に血が上る。
「イジメてるって?私が!?有希が突然キレだしたんじゃん!ただちょっと、似てるね、っていっただけで、急にキレだして、変だよ!おかしいじゃん!」
「あんたの育て方が悪いんだから、しょうがないじゃん」と、父
「どうせ、大した人になるわけじゃないんだから。」
ちびまる子ちゃんの父、ヒロシが言うセリフ、「どうせなるようにしかならねえよ。」的なセルフだ。
ちびまる子ちゃんの中では、まる子大好きお祖父ちゃん友蔵が「そうじゃそうじゃ、まるこはなるようになるんじゃ。」とか言い出し、結果、丸く収まる。
がしかし、内山田家には、そんなお祖父ちゃんもいないわけで、そのまま炎上に突入する。
「何言ってんの!そんなこと言ってんじゃないよ!いっつも変なこと言って!」と、母。
「はいはい、私は変ですよー。」と父。
父は人よりそこそこ成功している方だと思う。
なのに、なぜか自己肯定感は低く、何かというと、どうせろくなもんにならない、と言うのが口癖だ。
「未希(姉)だって、将来すごいことになるんじゃないかって、みーんな期待したけど、結局専業主婦じゃん。どうせ大した人になるわけじゃないんだから。あきらめなよ。」と、父。
すでに酔っぱらっている。
姉は子供の時から、何でもよくできた。
私とは正反対の優等生の人氣者。
そして母は、私も子供のころは何でもできるのが当たり前だった。結婚してからこんなことを言われるようになった。と、念仏のように繰り返し言っている。
父と母の喧嘩は、まだ続いている。
「はいはい、なんでも私が悪いんだよ!」バンッバンッ!と、母
「もう、やめなよ。お父さんもお姉ちゃんも、言いすぎだよ。お母さんだって、いつも頑張ってるじゃん。」と、妹。
この両親は、いつも誰かが間に入って機嫌を取らないといけないルールがある。
ちなみに妹は年が離れているからか、両親の溺愛のもと、一人っ子のように育っている。
いつも明るく元氣で、自分が常に一番でいたい!というアグレッシブなエネルギーに満ち溢れたタイプだ。
「・・・もういいよ」
・・・なんか、いつもこう。何十年も、変わらない。子供の時は、このやり取りが面倒で、ずっと、何も言わずにやり過ごしていた。
いつのまにか、憎しみのようなしこりが、お腹に溜まっていた。
大人になってから、やっと、母の言うことを聞いていても人生は上手くいかない、と、氣づきだした。
それからは、この繰り返し。
「よくないよ!いつもいつも!私が悪いって?」と、母
「そんなこと、言ってないじゃん。もう、いいよ。」何を言っても、通じない。
「よくないよ!いつもいつも、私が悪いっていえばいいと思って!」止まらない母
「そんなんじゃ、龍之介が可哀そうだって言ってんだよ!」と、私。
「はあー?じゃあ、あんたの思い通りに育てなよ!私は知らないよ!」
「出たよ。私は知らないよ。どうせ、明日にはケロッとして、世話焼いてるんだから。もういいよ、有希、寝ろ寝ろ。」と、父
「なにそれ!あんたがやりたいように、そのこを育てなよ!私は知らないよ!」
「なにそれ。意味わからない」もう、やめないと、龍之介が可哀そうだ。
「それだけ言ったんだからね!責任もちなよ!あんたが見れないときは、お父さんに頼むんだね!」
「やめなって。そんなの無理じゃん。お姉ちゃん、言いすぎだよ」と、妹
「あんだけ言ったんだから、自分で面倒見るんでしょうよ!」ふんっと、母
「もういいよ。」
私はそそくさとその場を去る。
お風呂から出ると、リビングでは、母と妹、父が楽しそうに、笑いながらテレビを見ていた。
「あーはっはっはっ!面白いねー!なに、この人!」母
「あはははは!これこれ、お父さんも、うわっとか言って!」妹
「これは、どこそこの・・・」父
「・・・」私は無言で部屋に向かう。
龍之介も一緒に来た。
「寝ようか」
うなづいた。
いつも母とけんかをすると、大抵お気に入りのマンガを何十冊も読み、眠くなるまで読み続け、泣いてスッキリして何も考えずに寝て、次の日を迎えていた。今までずっとそうしてきた。
でも、龍之介の前でそんなことはできない。
龍之介に読み聞かせとしてあの本を読んでみた。
運のいい人はものすごく苦労する道を選ぶらしい。
そんなこと、考えたこともなかった。。。※参考渡辺昇一一日一言
運が向こうから、お客のように来るんじゃない。すべての幸福や幸運は、自分が呼び寄せなければ来やしない。
やさしくいうと、幸福や幸運は積極的な心持ちの人が好きなんだ。
と、書いてあった。※参考ほんとうの心の力中村天風
たしかに、成功していても嫌な奴は五万といる。だけど共通して積極的、エネルギッシュだと思う。
そうか。
周りの人を喜ばせようと思うことこそが人生をよくする※心と生き方稲盛和夫
褒めてくれなくても怒らず、むしろ、人に氣づかれないように良いことをして徳を積んでおく。
※あとからくる君たちへ伝えたいこと鍵和田秀三郎
なるほどね。。。。
感情的、感傷的にならずに線が太くなる。もう悲しまない。怒らない。妬まない。正直。親切。愉快に。
心が変わると人生が変わる。この気づきが人生を明るくしていく第一歩だった。
「繊細さん」の幸せになる方法① 怒ったら怖そう、という雰囲気を出す
https://note.com/ittou_shoushi/n/nc8985fd5628d
「繊細さん」の幸せになる方法② 心の栄養になる本を読む。(小説あり)
https://note.com/ittou_shoushi/n/nc8985fd5628d
「繊細さん」の幸せになる方法③ 「こっそり」「機敏に」
https://note.com/ittou_shoushi/n/n71f57126bf10
「繊細さん」の幸せになる方法④ 「ターゲットにされない方法」(小説あり)
https://note.com/ittou_shoushi/n/n8dee32c508c2
「繊細さん」の幸せになる方法⑤ 利用されない。(小説あり)
https://note.com/ittou_shoushi/n/n03a8caf80774
「繊細さん」の幸せになる方法⑥ 「氣」を出す訓練、呼吸動作。(小説あり)
https://note.com/ittou_shoushi/n/n3b2d5a75c031
「繊細さん」の幸せになる方法 ⑦ 線が太くなる(小説あり)
https://note.com/ittou_shoushi/n/n319955f0d3af
「繊細さん」の幸せになる方法⑧ 首と自律神経の関係。(小説あり)
https://note.com/ittou_shoushi/n/ne0550193b204
「繊細さん」の幸せになる方法⑨ 「繊細さん」は冷えやすい?
https://note.com/ittou_shoushi/n/nc36a22317aff
「繊細さん」の幸せになる方法⑩ 幸せそうなツヤ顔になる!方法。(小説あり)
https://note.com/ittou_shoushi/n/nc206656b093f
「繊細さん」の幸せになる方法⑪ 「氣」を出す4つの方法
https://note.com/ittou_shoushi/n/n05496b2c244a
「繊細さん」の幸せになる方法⑫ お腹を温め、リラックスする。(小説あり)
https://note.com/ittou_shoushi/n/nf94879aa1045
「繊細さん」の幸せになる方法⑬ 遺伝子と上手に付き合う。(小説もあり)
https://note.com/ittou_shoushi/n/nfc00ca16a679
「繊細さん」が幸せになる方法⑭ アロマオイルでリセット。その方法。
https://note.com/ittou_shoushi/n/n002fe64151d7
「繊細さん」の幸せになる方法⑮ 心を向ける。(小説あり)
https://note.com/ittou_shoushi/n/n03593bd17cb2
「繊細さん」の幸せになる方法⑯ 出し切る。(小説あり)
https://note.com/ittou_shoushi/n/naf9b000c9724
「繊細さん」の幸せになる方法⑰ 不利な状況をいかに生き抜くか。(小説もあり)
https://note.com/ittou_shoushi/n/nba9cf3fe1389
「繊細さん」の幸せになる方法⑱ 「氣」が出る体にする。
https://note.com/ittou_shoushi/n/n736b0cd70a52
「繊細さん」の幸せになる方法⑲ 子供のころの自分を癒す。(小説あり)
https://note.com/ittou_shoushi/n/n4e68c400b509
「繊細さん」の幸せになる方法⑳ ちかん、セクハラ対処法。(小説あり)
https://note.com/ittou_shoushi/n/n11ce8813aff1
「繊細さん」の幸せになる方法㉑ 「氣」を送る。(小説あり)
https://note.com/ittou_shoushi/n/ne01bb82da337
「繊細さん」の幸せになる方法㉒ おとなし組と、わんぱく組に分ける(小説あり)
https://note.com/ittou_shoushi/n/n535dab14552c
「繊細さん」の幸せになる方法㉓ どうにもできないことを経験する。(小説あり)
https://note.com/ittou_shoushi/n/n20e44ca0c82d
「繊細さん」の幸せになる方法㉔(おわり) 論語と短歌と俳句 大人も子供も一緒に。(小説あり)
https://note.com/ittou_shoushi/n/n59e9f797f730
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?