経営本のスゝメ 10.
この話は、昨日で最後のつもりだったけれど、奇遇にもこのタイミングで(わずか2か月足らず前)正垣さんの新刊が上梓されたことを知り、早速拝読した。
『サイゼリヤの法則 なぜ「自分中心」をやめると、ビジネスも人生もうまくいくのか?』
そんなわけで、やはり本書のことも綴っておきたい。
改めて述べるまでもなく、素晴らしい内容だった。
3時間ほどで読めると思うので、ご興味のある方は是非こちらも読んでいただきたいと思う。
先述のとおり、かなり以前からぼくは正垣さんを追いかけていたので、書籍やインタビューだけでなく出演されたテレビ番組もほぼ拝見している。
だから本書で述べられていることや考え方は、過去に見聞きしたことのあるものが多かった。それらは10年以上も前のことであり、そしてこの新刊が出たのはほんの2か月ほど前。
つまり正垣さんが大切にされている考え方は昔から一貫していて、まったくというほどブレがないことがわかる。
第一章から「利他」で始まるので稲盛さんの著書に通ずるものを感じるけれど、これも今に始まったことでなく、正垣さんが昔から何度も公言されていたことである。またそれは、稲盛さん以上のものにも感じる。
稲盛さんは経営者の仕事として、価格設定の重要性もよく説いてられた。
そこは同じなんだけれど、正垣さんのそれは完全に安価で提供することにベクトルが向いている。無論デタラメに安くするということでなく、それを可能にするために科学を取り入れ、企業努力なんて月並みな言葉では言い表せないほどの精緻さで行われている。
まさに「取らんと欲する者は先ず与えよ」を実行されているのが正垣さんだけれど、正確には「欲してさえおられず、とにかく与えよ」な人にさえ思えてくる。
第二章には、「サイゼリヤがつぶれたら、それは喜ばしいこと。 もしあなたが、世の中を良くしたいと考えているのなら、自分よりも優れた人に、拍手を送りましょう。」とある。
らしいというか、一見キレイごとと捉えられそうな話が全編にわたり述べられているけれど、きっと正垣さんは本心でそう思われている。
まるで高尚なお坊さんかのような言葉の数々だけれど、そんな正垣さんは理系の優れた頭脳の持ち主だ。
料理や経営に科学を持ち込み理に適ったことをされているのは間違いなく、その印象が強いけれどそれらの理論も正垣さんにとってはツールに過ぎないんだろうな。
そしてその根底にある哲学は、やはり利他の精神に違いない。
あぁ、書き切れなかった・・・
つづく