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必ず正解に走り込んでみせる

熱が出ると思い出す
何かに冷めていたことに
咳が出ると思い出す
何かに安堵していたことに
1人になると思い出す
誰かに生かされていたことに

何かを失うたびに思う
また繰り返すのか
同じような表現を何百個も重ねて
自分を表したと錯覚して
いつも間違っていることに気づく

それって銀河の中の一つの星の集まりの、
一つの星の小さな国の、小さな街の小さな心で
起きるどうでもいい間違いなのに
それだけのことで夜に捕まって
行く当てもなく歩き出し
大切な人に見せたい弱さを隠し
ここまで来たのにまた逃げたくなる

急に明るい街灯を見つけ
もたれかかりタバコに火をつけてみる
煙が目にしみる
また朝になろうとする
今回もまた間違いだった

使い古した常套句で罠に誘い
狂おしいほど醜くうねるこの感情に
どうにかこうにか理由をこじつけ
その辻褄合わせに夜を溶かす
必ず正解に走り込んでみせる

月を見ると思い出す
あなたに照らされていたことに
星を見ると思い出す
遠くであなたが力強く光っていることに

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