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やっぱり実家が苦手です
お正月休みに久しぶりに子供と実家に帰省した。
電車の窓から、見慣れた街並みの景色が広がると、持ち前の不安障害が暴れだす。やっとこの町から出ることが出来ると、緊張と期待に胸を膨らませて、大学に通うために離れた地元に、子供と一緒に帰省している。
「ただいま。」
玄関のドアを開けて、母親は言う。
「靴はそこに置かないで。こっちに置いて。」
今回も、「おかえり」はない。
家は、親戚づきあいが濃い。
お正月となれば、ひっきりなしに親戚が家に挨拶に来る。
親戚のおじさん、おばさんがほかの親戚の近況を聞いてもないのにまくしたてるように話している。
そうこうしているうちに、いとこ達がそれぞれの子供を連れてやってくる。テーブルが足りなくて、もう一つテーブルを並べて、座敷で一緒にご飯を食べる。私の子供はASDだ。いとこの子供たちが輪になって遊ぶ中、子供が一人でマイペースに行動することにより、周りの人たちが子供へ視線を送り続ける。微妙な空気が流れて、これは、授業参観の時みたいだなと思った。しばらくして、私や子供への容赦ない質問攻めが始まる。きっと、ほかの親戚の家に行ったときに、話のネタにされるのだろうなと思いながら、作り笑いで答える。
もう早速家へ帰りたい。
親戚の人たちが皆帰った後、今度は親から子供のことを聞かれたり、おじさんおばさんが言っていたが、スポ少に入れたほうが良いとか、栄養が足りてないとか、躾がなってないとか、延々と小言や、母親なんだからしっかりしろなどというアドバイスが続く。
「大変でしょう」
「子育て頑張ってるね」
そんな言葉をかけてくれたらいいのに。
私の心に寄り添ってくれたことなどあるのだろうか。
いつだって親から連絡があるときは、年賀状を作ってほしい、パソコンがおかしいから直してほしい、通販で何か注文してほしい、という親が助けてほしい時ばかりで、私の体調や子供のことなど聞いてくれたこともないし、高熱が出て動けないとラインで連絡しても、「それは大変。お大事に。」それだけだった。きんきんに冷えた氷水を一気に飲んで、身体中が冷え切るような感覚になる。親との会話にはぬくもりがない。
実家に帰ると、心は一切通じ合っていないのにも関わらず、家族を演じているような気持ちになる。
毎回、帰省する前は眠れない。帰省しても眠れない。
どんどん不安の闇に包まれていく。いっそのこと、このまま闇の中に私だけ閉じ込めておいてくれないだろうか。
寝ている子供の寝言で現実に戻る。
せめて子供は、自分の家へは気軽に、安心して帰ってこれるような場所になって欲しいと思いながら寝ている子供をずっと眺めていた。