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夜ふかしホットケーキ

先週の話である。

息子がしんどそうだったので、早く寝かせようと思っていたのだが、母の思惑とは一転し、はしゃぎ始めたもうすぐ3歳。

あまつさえ「ドライブに行く」などと言って外に出ようとするものだから、どうしたものかと思案した末に「いっそのこと、ホットケーキでも焼くか」と提案した。

そうして私たちは、21時頃からホットケーキを焼き始めたのだった。

ホットケーキミックスの粉に牛乳と卵を加え、混ぜるだけ。
美味しそうな黄色い生地。そのまま食べたらぜったいにお腹を壊すけど、「なま」の状態がミョーにそそる。

それをフライパンに流し入れ、プツプツと音を立てて焼けていく様子を見るのは楽しいものだ。

息子が「『しろくまちゃんのほっとけーき』と一緒だね」と言ったのがかわいらしく、思いがけず食育の時間にもなった。

ただ混ぜて焼いただけなのに、とても楽しく、甘いおいしさにお腹も満たされ、安らかに眠ることができた。なんと贅沢な時間!

もちろん、寝かしつけの時間の問題や、寝る直前に食べ物を避けるべきといった常識はあるだろう。

だけど毎日のことではないのだから、時には楽しく笑って過ごして眠る方が幸せなんじゃないかな。背徳感もあいまって、なんだか最高の時間だった。


息子が口のなかをいっぱいにしながら「これってホットケーキパーティーだよね」と言うので、「間違いなくホットケーキパーティーだよ」と答えた。

なんだか村上春樹の書く小説みたいな会話だな、と思い、ひとり笑ってしまった。


『しろくまちゃんのほっとけーき』(こぐま社)


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糸崎 舞|カルチャーライター
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