シェア
伊藤トイ
2019年3月19日 23:52
変わらないことは大変だ。転んだらそのまんま寝っ転がっていたいのは転んだ直後だけで、すぐに息苦しくなって仰向けに回転する。そして空の綺麗さに、立ち上がってもっと近くで見たいと思う。もし息苦しくても構わないとしても、そのままずっと寝ていたら何時かは意思が消え、リン酸カルシウムの集合に、変わり果てた姿になる。結局何時かは立ち上がらなければならないのだから、変わらなければ生きていけない。それでも僕が変
2019年3月4日 22:36
今日も歩く。行く先もないまま、なんてかっこつけて言ってみたいけれど決してそんなことはない。ただ学校へ向かっているだけだ。帰り道の対義語は行き道って言うらしい。まさに僕は今「いきみち」を歩いている。自己の存在証明のため、生きていることを証明するため、僕は歩いている。生きるために歩いている。例えば透明人間、例えば山奥で暮らす仙人。誰にも認識されない人は、生きておらず存在していないの
2019年3月2日 02:52
深夜1時、家を出る。いつも通る街も、夜には夜の衣装を身にまとう。街路照明で優しく光る歩道。信号機は赤の部分だけが点滅し、歩行者用信号は完全に消えている。完全に電気の消えた家もあれば、未だ煌々と光を放つ家もある。僕はコンビニでコーラを買い、飲みながら歩く。たまに車や歩行者とすれ違うが、皆が目の前だけを見て歩いている。死んだような顔をして。いつもの公園に到着。ベンチに座り、目の前のブラ