帰り道の対義語
今日も歩く。
行く先もないまま、なんてかっこつけて言ってみたいけれど決してそんなことはない。
ただ学校へ向かっているだけだ。
帰り道の対義語は行き道って言うらしい。まさに僕は今「いきみち」を歩いている。自己の存在証明のため、生きていることを証明するため、僕は歩いている。
生きるために歩いている。
例えば透明人間、例えば山奥で暮らす仙人。誰にも認識されない人は、生きておらず存在していないのと同じだ。
死んでも誰にも気付かれないのは、生きていないのと同じだ。
まだ死にたくない僕は、学校へ向かう。
そこでどんなに死にたくなるとしても。
生きるために、僕は何があっても学校へ行く。
生きたいから、行く。