マガジンのカバー画像

#小説(適当)

5
#小説 をつけたやつです
運営しているクリエイター

記事一覧

Do stay alive.

Do stay alive.

変わらないことは大変だ。転んだらそのまんま寝っ転がっていたいのは転んだ直後だけで、すぐに息苦しくなって仰向けに回転する。そして空の綺麗さに、立ち上がってもっと近くで見たいと思う。もし息苦しくても構わないとしても、そのままずっと寝ていたら何時かは意思が消え、リン酸カルシウムの集合に、変わり果てた姿になる。結局何時かは立ち上がらなければならないのだから、変わらなければ生きていけない。

それでも僕が変

もっとみる
帰り道の対義語

帰り道の対義語

今日も歩く。

行く先もないまま、なんてかっこつけて言ってみたいけれど決してそんなことはない。

ただ学校へ向かっているだけだ。

帰り道の対義語は行き道って言うらしい。まさに僕は今「いきみち」を歩いている。自己の存在証明のため、生きていることを証明するため、僕は歩いている。

生きるために歩いている。

例えば透明人間、例えば山奥で暮らす仙人。誰にも認識されない人は、生きておらず存在していないの

もっとみる
Walking in the night

Walking in the night

深夜1時、家を出る。

いつも通る街も、夜には夜の衣装を身にまとう。街路照明で優しく光る歩道。信号機は赤の部分だけが点滅し、歩行者用信号は完全に消えている。完全に電気の消えた家もあれば、未だ煌々と光を放つ家もある。

僕はコンビニでコーラを買い、飲みながら歩く。

たまに車や歩行者とすれ違うが、皆が目の前だけを見て歩いている。死んだような顔をして。

いつもの公園に到着。ベンチに座り、目の前のブラ

もっとみる

居場所

学校。
クラスメイトが屈託のない笑顔で話している。こんなに息の詰まる場所はない。
道。
みんなが無表情という名の仮面を被り、歩いている。怖い。
塾。
先生の熱意が空回りしている。見ていて悲しくなる。
電車。
スマホの画面が乗客の顔を照らす。僕は顔をハンドバッグに埋めた。
エレベーター。
おばさん達が腹を揺らしながら醜く顔を歪めている。気持ち悪い。
家。
両親が過剰な期待で僕を束縛する。これ以上何を

もっとみる
Flyer in the wheat

Flyer in the wheat

僕が教室を抜け出して近くのコンビニへコーラを買いに行っているうちに学校では猫の大軍が図書室を占拠したらしい。ツイッターのtlでそんなメッセージが流れてきたが、僕は無視していつもの公園へ向かう。
公園、それは公衆が憩いまたは遊びを楽しむために公開された場所。ウィキペディアの文をコピペしてもそれはなんの意味も成さず、ただただ味気ない「事実」という名のなにかレッテルのようなものを付加するだけだった。とに

もっとみる