見出し画像

ふよーふきゅーって何なのさ。


雪に慣れていない東京。

2月にあった”大雪”の天気予報はどんぴしゃ、数日前より「不要不急の外出」は控えてとの呼びかけがなされていました。もちろん強制力があるわけではないので、一人一人の判断で自由に外出の可否を判断して良いものです。

が。

危険とわかっている。電車が止まる可能性が高く、帰宅できなくなるかもしれない。急ぎの仕事もない(明日以降に処理しても問題がない)。⇒出社しなくても良いのでは?

と思ったところで。

Twitterには以下のような「会社に言って」など、”自身に出社の可否を決定する権限がない”人たちの切実な投稿がありました。※引用失礼いたします。

福祉に関すること、インフラ関連や公に属する仕事に関して、これはもう出社するしかないだろうと思います。

が。

でもそれ以外の仕事に関しては、その福祉のリソースをそぐことをしてはならないのでは?と思います。

たとえばその日が締め日だったとしても、その締め日を”決めた”のは”会社”なのでその締め日をずらせばいい(法令で決まっていることなどは当然ずらすことはできませんが、会社内での取り決めなら変更可能ですよね?)
社内だけでおさまらず、取引先も関わってくることであれば取引先との交渉は必要となるかもしれませんが、取引先ももしかしたら”今日”である必要はないかもしれない。
こういったときの”上役”なわけで、取引先と話をし、期限を延ばすなどの対応をしてほしいところ。上司としてのお役目です。

ここ数年のコロナ禍で、在宅勤務やリモート授業はある程度できるようになった、当たり前になってきたと思いますが、”出社”しなくても仕事ができる環境を整えるのもまた、上役のお役目ですよね。

「昔はこうだった」

その昔話よく聞きますけれど、他のことはどうなのでしょうね。”昔は”携帯電話もなくメールなどもせず、連絡がつかないことなんてしょっちゅうあったのでは?
終業後に連絡しても相手は当然”終業”しているので、次の日の始業後でないと業務に取り掛かれないということばかりだったのでは?

今は四六時中連絡が取れ、しかもそこで業務を頼むこともできて、業務(会社)に縛られる。休日でも連絡が来たりする。休日前の終業時刻ぎりぎりに「御休み明け来週の朝ください」などの依頼が平気で来たりする。

そんなに急いでいるんだったらなぜ”今”頼むのでしょうか。もちろん緊急がゼロであるとは言いません。でもそんな業務の依頼の仕方をされると、他の仕事のスケジュールはどうなっているのだろう?他の仕事もギリギリまでやらない(やっていない)のでは?と思わざるを得ません。

総じて、段取りができない人に仕事を依頼するのはやめよう(この人と仕事するのはやめよう)と思ってしまうのは果たして私だけかしら。

業務量の変化

さて、ここで”昔”と今の業務量の違いをいくつかの側面から取り上げてみます。

1.テクノロジーの発展
コンピューターやインターネットの普及により、業務の多くがデジタル化され、自動化や効率化が進んでいる。昔は手作業で行われていた作業が、今ではソフトウェアやアプリケーションによって自動化されているため、同じ業務を行ってもその量は大幅に増加している。

2.情報量の増加
インターネットやデジタルツールの普及により、情報の取得が容易になった。これにより、業務に必要な情報量が増加し、それに対する処理や分析の必要性も高まっていると言え、昔に比べて情報量が増えたことで、業務の量も増加している。

3.グローバル化
グローバル化の進展により、企業や組織は国境を越えてビジネスを展開している。これにより、異なる地域(時差などによる24時間対応など)や文化(その地域に関する情報収集や禁忌事項などに対応するためなど)に対応する業務が増え、業務量も増加している。

4.ワークスタイルの変化
近年では、フレックスタイムやテレワークなどの柔軟な働き方が一般化している。これにより、業務の時間や場所に制約が少なくなり、業務量が増加していると捉えられる。

業務量の変化は業種や組織によって異なりますが、一般的には技術の進歩や効率化の取り組みにより、昔と比べて現代の業務量は大幅に増加しています。

総じて言えることは、昔と比べて業務量は増加していますが、これは単純に仕事の増加ではなく、テクノロジーや環境の変化によるものも大きな要因です。

※効率化して少ない人数でも対応できることが増えたが、業務の密度は上がっていると考えて良いと思う。

国からの要請

さて。コロナ禍のときにもさんざん話題になりましたが、国から不要不急の外出を控えるよう要請があったとき、会社が出社を促すことは問題があると思われます。

国からの要請の場合は以下の問題が起こる可能性を考える必要があります。

1.従業員の健康リスク
不要不急の外出を控えるよう要請がある状況で、会社が出社を促すことは、従業員の健康リスクを増大させる可能性がある。集団での出社により、感染症の拡散リスクが高まることが懸念される。

2.社会的信頼の低下
国や地域の要請に反して会社が出社を促す場合、社会的信頼が低下する可能性がある。会社が公共の安全や福祉を無視し、自己の利益を優先すると受け止められることがあり、結果として企業の評判やブランド価値が損なわれる恐れがある。

3.法的リスク
政府からの要請に反する行動は、法的なリスクを伴う可能性がある。特に、緊急事態宣言や感染症対策法などの法的規制が存在する場合、これらに違反することは法的制裁を受ける可能性がある。

4.労働環境の不安定化
従業員が不要不急の外出を控えるよう要請される中で、会社が出社を促すことは労働環境の不安定化を招く可能性がある。従業員の間で不満や不安が広がり、離職率の増加や生産性の低下などの問題が生じる可能性がある。

以上のように、国や地域の要請に反して会社が出社を促すことは、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。企業は、社会的責任を果たし、従業員の安全と福祉を最優先に考えるべきです。

通勤時にも及ぶ、事業主の安全配慮義務

国からの要請とは別に、台風や大雪などの悪天候による不要不急の外出を避けるようにという呼びかけは、国からの要請でもなく、誰もが自由に外出することができますので会社が出社を促し、それに従業員を従わせること自体は問題ありません。

ただ、台風や大雪などの悪天候の際、出勤を促したことでの問題について考えてみましょう。

雇用主には「安全配慮義務」が求められているのはご存じの通りですが、これは職場以外でも「従業員が安全に働くために」労働環境を安全かつ健康的に保つために取るべき措置であることから、通勤時にも従業員の安全確保が求められます。

通勤時の安全確保については以下の点が重要です。

1.労働安全衛生法に基づく義務
労働安全衛生法では、雇用者は従業員の通勤時の安全を確保するために適切な対策を講じることが求められている。これには、通勤経路や交通手段の安全確保が含まれる。

2.安全教育の提供
雇用者は従業員に対し、通勤時の安全に関する適切な教育や指導を行うよう努めなければならない。特に、交通事故の予防や緊急時の対応についての知識を提供する必要がある。

3.通勤手段の選択肢
雇用者は、通勤手段の選択肢を提供し、従業員が安全かつ効率的な方法で通勤できるよう支援することが求めらる。例えば、自動車通勤の場合には駐車場の確保や安全な駐車場の提供、公共交通機関を利用する場合には適切な情報提供や割引制度の設定などが含まれる。

4.緊急時の対応策
雇用者は、通勤中に発生する可能性のある緊急事態に備えて適切な対応策を策定し、従業員に周知する必要がある。これには、災害時の避難経路や連絡先の明示、緊急連絡手段の提供などが含まれる。

通勤時の安全配慮義務は、雇用者と従業員の双方が協力して実現されるべきものであり、安全な通勤環境の確保に向けた努力が双方に求められます。

また出勤後に起きた災害などで電車などの通勤手段が運休した場合、会社の安全配慮義務は以下のような点があります。

1.通勤手段の提供
運休が予測される場合、会社は従業員が安全かつ効率的な方法で通勤(帰宅)できるよう、代替の交通手段を提供する必要がある。これには、バスやタクシーなどの代行輸送の手配や、在宅勤務などの柔軟な働き方の提案が含まれる。

2.情報提供
会社は従業員に対し、通勤手段の運休や影響について適切な情報提供を行う必要がある。これには、運行状況の確認方法や代替手段の案内などが含まれる。

3.作業時間の調整
運休などの交通トラブルにより、従業員が帰宅に時間を費やすことが予想される場合、会社は柔軟な作業時間や出勤方法を提供することが求められる。場合によっては業務を継続することよりも業務を早めに切り上げられるよう関係各所に調整し、早めの帰宅を促す必要性も生じる。

4.緊急時の対応
会社は緊急時の対応策を周知し、従業員が安全に行動できるようにする必要がある。これには、災害時の避難経路や緊急連絡手段の確保、安全確認の手順などが含まれる。

会社の安全配慮義務は、通勤手段の運休などの予期せぬ状況に対処する際にも従業員の安全を最優先に考え、適切な措置を講じることが重要です。

天災などは特に地域ごとに対応が分かれるところでもありますし(例:雪に慣れている地域、慣れていない地域)、従業員の健康状態や年齢、家族構成などによっても異なることから画一的な対応で済むようなことは少なく、臨機応変な対応が求められることも多く、通常業務に戻った際は良かったこと悪かったこと、メリットデメリットなどを検証し次回に繋げていくことは必要となるでしょう。

最後に具体例を挙げつつ、気になることを

★関係各所(特にこちら側が顧客としての立場がある取引先など)への配慮

定例の配達を待っている⇒こちらから断る(明日以降で良いと伝える)ことで従業員が業務を早めに切り上げることができたり、相手(ここでは運送業者)も業務を切り上げ、安全に業務を遂行できる可能性があります。

★従業員が不安に思っていることへの配慮

給与の不安⇒終業時刻を早めても通常の所定労働時間を働いたとみなすとのアナウンス。
「早く帰れ」と帰宅を促してもノーワークノーペイで給与が支払われないとなると、終業時刻まで働こうと考える従業員も多いと思います。会社は早く帰れと言った場合、休業補償を支払う義務が生じますが、それだと給与が満額ではないため不満に思う従業員もいるでしょう。
本来、働いていない分なので通常の給与を支払う義務は会社にはありませんが、安全に帰宅できないことによるリスク~ケガをしてその後働けなくなるなど~を考えれば通常の給与を支払うことにしてしまった方が良い可能性もあります。

電車等の運休で途中までしか帰れなかったなど帰宅困難者となった場合の措置⇒ホテル等の宿泊費、タクシーなど他の代替え手段で帰宅した場合の運賃などはどのようにするのかなども取り決めていた方がいいでしょう。

また帰宅できず、会社に泊まる場合のルールなども決めておきましょう。(会社にいる以上、会社内で起こったことに会社が関与しないということはあり得ません)

※就業規則に規定されていても再度アナウンスすることは大切です。
権限のある人が判断し、しっかりと従業員に伝えるようにしましょう。
(法令に則った判断が必要です)

※一部AIを使って記事を書いてみました。

≪Profile≫伊藤社会保険労務士事務所
東京都社会保険労務士会 所属
特定社会保険労務士 伊藤 綾子
2005年4月 渋谷区にて事務所開設
2011年11月 豊島区に事務所移転
★組織改革支援★組織・人材活性化支援★
伊藤からの質問「どういう組織をつくりたいですか?」

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?