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東京のうた一首鑑賞◆東京にいるというよりサブスクで日々をレンタルしている気分/ショージサキ

 東京にいるというよりサブスクで日々をレンタルしている気分
  ショージサキ 「短歌研究」2022年7月号
 
 地方に住んでいてたまに東京の街に出ると、若い人(とりわけ若い女性)の多さに圧倒される。2022年短歌研究新人賞受賞作「Lighthouse」からの一首。一連を通じて、東京に暮らす主体のふわふわした浮遊感や性に関するゆらぎなどが感じられる。「無職だと地元で言えばクッキーの型にはめられ鬼のおやつに」という歌もあり、「地元」での息苦しさも伝わってくる。確かに、比較的保守的な地方の暮らしにうっかり多様性など持ち込もうものなら、近所の世間話のお茶請けとして消費されてしまうかもしれない。
 歌謡曲の「東京砂漠」ではないけれど、何かと冷たい都会として描写されがちな東京。しかし、他人に無関心な都会だからこそ、個人個人のさまざまなゆらぎや、多様な存在のあり方を許容してくれる。「新宿は息がしやすい 真冬でもノースリーブの人が歩いて」という歌にもそんな実感がこもっている。
 「サブスク」という旬の短い言葉が、今ここにある「気分」を鮮やかに切り取ってくれる。何者にもなれるかもしれない、持たない暮らしの不安定な気軽さ。この歌には私の好きな東京がある。(伊藤まり)

(短歌人2023年11月号 特集「東京はどう詠まれてきたか」)

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