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周りの目によって築かれる価値


※この記事は速読の練習用として使えるように、太字部分を読めば1分程度で読めるように書かれています。ぜひやってみて下さいね!



日本はよく周りの目を気にする社会だと言われる。そしてそれは、SNSなどでいいねを求める承認欲求としても、顕著になってきているのではないだろうか。Youtubeや広告などの仕組みも、これに拍車をかけているかもしれない。

そこで、それをフロムの性格分類と、近年のエンタメ化社会の傾向から考えていこうと思う。



商品になる個人

ドイツの社会心理学、精神分析、哲学の研究者のエリーヒ・フロムは性格分類として「人が社会でどのようなポジションを取るか」を主に、5つに分けた。それらは、受容的性格、貯蔵的性格、搾取的性格、市場的性格、生産的性格といったものだ。

この中で、「市場的性格」に注目しようと思う。フロムが言うに、市場的性格とは交換的であり、資本主義の市場原理に従って、絶えず「交換」の原理に従う、といったものだ。

現代の市場は、市場経済の発展により、モノの価値はそれがどれだけ役に立つかという‟使用価値”によって決まるよりも、それがいくらで売れるかという‟交換価値”で決まるようになった。そしてその交換価値は、人々がそれをどれだけを欲しがるかによって決まる。

さらに、フロムはこの現代社会の市場経済の原理が、人間的な個人の価値にまで及んでいるとした。

それはつまりどういうことか。個人の価値はその人の能力や人となりを問うよりも、その人が周りから受けている評価によって決まるということだ。そしてそれによって周りに自分を商品のように売り出すことになる。当時ですらそう言われていたのなら、現代ではそれは加速度的に進行しているだろう。



エンタメ化がもたらす市場原理の変動

これは‟周りの目”を気にする理由になるのではないだろうか。そして、これは、現代ではこの市場的性格の人間が増えているとも考えられるのではないだろうか。

こちらの記事(「エンタメ化社会わかりやすさの罠」)の陰キャ陽キャの項にもあるように、エンタメ化社会によって市場的性格の形成が促進されているとも考えられる。

こうしたように1.社会がエンタメ化していき2.それによって周りを気にするようになり3.市場的性格が形成されていく

こういった流れが現代にはあるのではないか。そしてそれは近年問題として挙げられる過剰反応やクレーム問題などにも繋がるだろう。「嫌われる勇気」が流行ったり、それによってアドラーが注目され始めたりしているのもその象徴と言えよう。

ここから派生するであろう問題などについては、また別にまとめたいと思う。



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参考文献

「「過剰反応」社会の悪夢」角川新書 (2015) 著 榎本博明


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