見出し画像

表出

「大好きとか愛しているとか、

そういう眩しいことばはなかなか扱えない。

それはわたしにとって宝石のようなことばだから。

それに、いざ口から出た瞬間、

元の分量より少しだけ、
軽くなっている気がするの。

不思議よね、
いったい何によって掠め取られたのか。



それとも本当は体内に残っているのか、

いや、気化してしまったのか。



そんな僅かに消えた体積の行方が気になって、

わたしは発したことばそのものに

言ったそばからくるりと背を向けてしまうの。

可笑しいよね。



でもね、こんな風にどうでもいい話が満開に咲く瞬間それこそが、

愛の眩しさそのものを表出している気がするの。」


この記事が参加している募集

サポートしていただけたら嬉しいです! これを励みにさらにがんばります!!