表出
「大好きとか愛しているとか、
そういう眩しいことばはなかなか扱えない。
それはわたしにとって宝石のようなことばだから。
それに、いざ口から出た瞬間、
元の分量より少しだけ、
軽くなっている気がするの。
不思議よね、
いったい何によって掠め取られたのか。
それとも本当は体内に残っているのか、
いや、気化してしまったのか。
そんな僅かに消えた体積の行方が気になって、
わたしは発したことばそのものに
言ったそばからくるりと背を向けてしまうの。
可笑しいよね。
でもね、こんな風にどうでもいい話が満開に咲く瞬間それこそが、
愛の眩しさそのものを表出している気がするの。」
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