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宙の成分

夜の帳に頬杖ついて

手繰り寄せる過ぎし日

鼻先をかすめる風の匂い

遠くに響く虫の音 掛け合って

時間の扉 ひらいてゆく

夕暮れ

地図を飲み込んだ身体

ここに在るのに、ここに居ないあたまを携え

幻影の中こころは玉虫色に瞬きだす
歩きながら君を想い

わたしを思い出してゆくの

身体のなかを釣糸のように上下しながら
呼吸を用いて
わたしがわたしであることの覚えを
地球に比べたら花粉よりちいさな私たちの体
なのにこの内側で
わたしはわたしを掴みきれないでいる

ふと、
多彩な色で構成される絨毯の宙へ

こころをそのまま投じてみたら

わたしであることの覚えは

この宙にあるすべてと一緒だということを
認識したのだった

だれとも違う君も

だれとも違うわたしも

この宙とおんなじ

鮮やかな光と影

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