哲学 ヤスパース同好会1
一ヤスパースファンとしての哲学考
記: 伊東弘
私は日常の出来事や社会情勢などを「自分自身で考える」ことが最も大切だと思っています。哲学とは「真理の追究」ではないかと考えます。哲学者を学ぶ際、この「真理の追究」という出発点が最も重要になるのではないでしょうか。教壇哲学ではこの原点とは違う方向へ行っていることも多いのではと思います。哲学は専門家がどう評価しているかを学ぶことが大切ではなく、自分の中にストンと入っていく最も重要ではないでしょうか。
カールヤスパースは私の心の師で、哲学好きの私は長年追いかけてきました。今世界はまさかと思えるようなニュースが日常に飛び交っています。ヤスパースの妻はユダヤ人で彼が大学教授時代はナチスの時代だったため大学を追われることになり、息をひそめながら東洋の哲学を研究していました。この研究が後年の世界哲学に通じるのではないかと思います。その頃ヤスパースはどんな気持ちだったのだろうかとよく想像していましたが、これまではあまりにも状況が違い過ぎて想像がつきませんでした。ところが今は当時に似た世界中が戦争モードになりつつある状況となってきましたので、皮肉にも当時の彼の気持ちを計り知れる部分が増えてきているように感じます。