いとバイ通信52 お米栽培の歴史と農薬

いとバイ通信52  お米栽培の歴史と農薬

2020.8.28(金)

農業改良普及員の農薬暦

福岡では約40年前農業改良普及員が農家の指導を行っていました。稲作農家へは普及員が作った年間の農薬暦が配布されました。まじめな農家ほどその暦通りに農薬散布をしていました。普及員は害虫による被害を恐れて農薬散布の回数をできるだけ多く記載していました。年に十数回の農薬散布が暦に記載されていたのです。

そのため農薬の害が激しく秋になってもトンボを見かけることは少なかったのです。消費者側の活動として農薬や化学肥料をできるだけ使っていない農作物を使いたいという運動が起こっていきました。私も流通としてその運動の一員でした。農業改良普及員は農業の専門家なので農薬の有害性の問題に頭を悩ませるようになりました。

そこで考え出されたのが「虫見版」です。虫見版とは昔の黒のセルロイド製下敷に表は九分割する線が書かれ裏面には害虫と益虫のイラストが描かれていました。これを稲穂の横において虫を落とし虫を観察することによって農薬の必要性を判断しようというものでした。

農薬暦の時は虫を見ずに暦通り農薬を散布していましたから不必要な大量の農薬がまかれていましたが虫見版で虫を観察して対処するようになって農薬の使用量は劇的に減りました。害虫が現れない時には殺虫剤を使わずに済むこともありました。秋になるとトンボが舞う田園風景が復活したのでした。

農業生産者の中でもいかにしたら安全な農産物が作れるかを深く考える運動が静かに広がりつつありました。当時稲作には除草剤が欠かせませんでした。除草剤を使わずに稲作を行おうという人たちが現れました。当時は夜中まで田んぼに這いつくばって雑草抜きの仕事をしたのでした。

当時無農薬米に必要な農作業の増大の経費を快く賄う消費者はほとんどいなかったのです。農家の増大した労働は農家の心意気で賄われていました。あまりに人力での除草作業が過酷だったことから他の方法が試みられ現在では「合鴨」「ジャンボタニシ」「鯉」などを田んぼに入れて除草させる農法が開発されました。

福岡で人力除草から苦労して合鴨除草を開発した古野さん(NHKのプロフェッショナルでも取り上げられました)はその後東南アジアやバングラデシュへその技術を伝えていきました。

虫見版を発案した宇根豊さんらは稲作と虫の関係を調べわが町・村に虫のいる自然を保つには地元産のご飯をどのくらい食べないといけないかを解明し数値化したのでした。農業の自然を保全する力を評価することが大切だと主張しました。

合鴨農法とはどんな農法でしょうか。まず田んぼから合鴨が逃げないようにすることや合鴨が襲われないようにするために田んぼの周囲に網を張り小さな小屋を作ります。田んぼに出すまでに2週間程度農家の納屋などでひよこを少し大きくなるまで育てます。合鴨はシーズンが終わると食されます。

ひよこを育てたり網を張ったりと手間暇をかけての合鴨農法が成立しています。

農薬のうち殺虫剤は2つの課題を抱えています。殺虫剤は益虫(害虫を食べる虫)と害虫の両方に同じようにかけますが益虫は害虫を食べますから殺虫作用が倍加してしまいます。益虫の方が殺虫剤の被害が強く現れますから自然のバランス力が失われてしまいます。

農薬を浴びてもまだ生き残った虫は耐性を持っている可能性がありその生き残った虫の子孫には殺虫作用が効かなくなります。農薬使用の未来は明るいものではないのです。

農薬は人体に無害かという課題を考えます。例えば殺虫剤は細胞を殺す作用で殺虫効果を発揮します。人間は約50兆個の細胞からできていますが細胞が殺される薬品を使って人間が安全であるわけがないと私には思われます。みなさんはどう思われますか。

※ 「#いとバイ通信」のブログにこれまでいろいろ書いてきています。ぜひご覧ください。

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