見出し画像

一人がすると、まるでそれが合図のようにほかでも咳の声が聞こえる

〇月〇日

 狭い田舎のあぜ道をタクシーで走っていた。
 すれ違いできるかどうか、ぎりぎりのあぜ道だ。とはいえ、すれ違い用のやや広くなっている場所がある。
 畑の中なので、見通しはいい。
 前から車がやってきた。
 やや広くなっている道でいったん停車し、通常、前からきた車をやりすごすのだが、そのタクシーは前進した。
 躊躇がない。
 狭い道をスローモーションのようにすれ違う。
 プロの技である。
 相手の車はマジかよと思ったかもしれないが、無事にすれ違うことができた。

 ワイルドなタクシーの運転手だ。

〇月〇日
 
 朝、電車に乗っていた。
 あちこちで咳をする声が聞こえる。一人がすると、まるでそれが合図のようにほかでも咳の声が聞こえる。
 何となしに見ると、マスクはしていないようだ。
 夏風邪が流行っているのだろうか。

いいなと思ったら応援しよう!

緒 真坂 itoguchi masaka
サポートをいただけた場合、書籍出版(と生活)の糧とさせていただきますので、よろしくお願いいたしますm(__)m なお、ゲストのかたもスキを押すことができます!

この記事が参加している募集