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絶対彼女


 「絶対彼女」というタイトルである。これは、2014年11月に開催された文学フリマのために書いた。
 ワードを使ってまず自分で書式を作り、書き、プリントアウトして、コンビニでコピーした。
 綴じひもを買ってきて、穴あけで穴をあけ、綴じた。
 表紙の写真は、自分で撮り、プリントアウトし、同じようにコンビニでカラーコピーした。
 モデルは妻くんである。
 絶対彼女というタイトルなので、女子の写真がほしい。まあ手軽に(実際にはそうでもないのだが)撮影させてもらえるのは、妻くんしかいない。
 顔を出さない条件で、了承をもらった。
 使えるものは何でも使う。それが、費用を抑えるコツである。
 たしか、文学フリマで、400円で売った。だが、いうまでもなく、作った時点ですでに赤字である。
 参加していながら、こんなことをいうのはなんだが、文学フリマで、大きな利益を出しているサークルはあるのだろうか。
 文学フリマではないが、コミケの参加サークルについて、妻くんは詳しい。友人がサークルを出していたからである。売り子としてブースに立ったこともある。そのサークルも収益は、赤字、あるいはトントンではないかなぁ、ということだった。
 コミケで、何千万円も利益を上げているサークル(あるいはコスプレイヤーなどもいる)は、ごくひと握りだと思う。
 ニュースとしては、そちらのほうが視聴者の興味を惹くので、そればかりが話題になるが、売り上げに関しては、実際はそんなものである。

 手作り本、「絶対彼女」のあとがきに私は、このように書いた。

 「絶対彼女」というタイトルは大森靖子さんのアルバムからいただいた。男なら誰でも「絶対彼女」がほしいのではないか、と思ったからだ。
 もっとも実際の話はそんなに簡単ではない。
 「絶対彼女」とは何か、という問いかけに対する普遍的な答えなどないからだ。「絶対彼女」の中身を精査することからドラマは始まる。もちろん、正解がない以上、答えは男の数だけある。
 友人に読んでもらったところ、「絶対彼女」の正体が途中でわかってしまうのではないか、という意見があった。それはミステリとしては失格かもしれないが、私は、そこにポイントを置いて書いていない。
 だからセーフだと思った。

 いまも、その意見は、変わっていない。

 さて、先日、この作品を読み返していて、最初のほうにこんな記述を見つけた。

 ぼくたちほど不自由な高校生はいない。高校生としての無限の可能性を追求することなどはできない。有能な野球プレイヤーになること。用途が決まっているからだ。

 不自由な高校生。
 あるいは、夢を持つことの不自由さ。

 私は、ずっとそんなテーマばかりを書いている。

 この手作り本は、ネット書店、めがね書林で売っているが、残部僅少だそうだ。

 私にとって、大事な部分が書いてある、と思い、noteに掲載することにした。

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