
ヨーロッパ特急
クラフトワーク「ヨーロッパ特急」
7月始めのclubhouse用の話である。
私の「妻くんといっしょ」収録の小説「東京山脈少女」に、ピアノでテクノポップを弾く男子高校生が出てくる。クラフトワークを想像しながら書いた。
さて、その男子高校生が弾いていた曲は何なのだろう。クラフトワークのアルバムをあれこれ聴きながら、考えている。7月始めのclubhouse用のために。
「心に響きます」
私はおずおずと近寄るといった。
その男子はバンド名と曲名を告げた。その男子は嘘をついたわけではない。私が勘違いしただけだ。美しい曲をピアノで弾くことができる人間は純粋な魂を持っている人間だと。
「知っている?」
男子が聞いたので、私は首を左右に振った。
「原曲はテクノポップなんだ」
テクノポップという音楽ジャンルは初耳だった。
「一年生?」
男子が尋ねた。私はうなずいた。
「そうなんだ。おれ、二年」
緒真坂「東京山脈少女」
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