手作り本って、コピー代だけで、販売価格を超えているので、まったくの赤字なのだが、それでも手間ひまかけて、作るのは、未知の読者に自分の小説を読んでほしい。その強い思いだけである
数年前、文学フリマに数回、参加した。Twitter等で参加の告知はしていたものの、反応は、ほぼなかった。ということは、その会場にきて、たまたま私の本を見つけて買う人だけが頼りだったということである。
初めて参加したときは、余計な心配した。何冊くらい本を持っていったらいいのか、まったく読めなかったからである。
できるだけたくさん売りたい。在庫切れはしたくない。だが、本は重い。持っていくのも、それなりに重労働である。
あとで、そんな心配はまったくの取り越し苦労だったことがわかる。
たしかそのときは、合計で80冊くらいスーツケースに入れて持っていった。売れたのは、10冊程度。
そのときの私の経験でいうと、あらかじめ交流のある人たちがおたがいの本を買っていくように思った。
「おっ。久しぶり」
「元気だった?」
みたいな挨拶が飛び交って、本を買っていく。
そういう交流のない私たちに、挨拶するひとはいない。
そのとき、コピー印刷の手作り本「絶対彼女」を見つけて、若い女の子が、
「この本、大森靖子さんの『絶対彼女』と関係があるのですか?」
「大森さんの曲にインスパイアーされて書いたんです」
と私は答えた。
その女の子が1冊、買ってくれた。うれしかったのを覚えている。
手作り本って、コピー代だけで、販売価格を超えているので、まったくの赤字なのだが、それでも手間ひまかけて、作るのは、未知の読者に自分の小説を読んでほしい。その強い思いだけである。
なお、隣同士になったブースの人が私の本を買ってくれたり、相手の本を買ったり、飴の差し入れがあったり、そういう交流はありました。
* 手作り本「絶対彼女」は、ネット書店、めがね書林にて販売中です。
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