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「ストーカーレポート」第2話アキバメイドの悲劇⑯を更新しました。
小説サイト「NOVEL DAYS」にて、「ストーカーレポート」第2話アキバメイドの悲劇⑯を更新しました。
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私は銀行に立ち寄った。
由比の元妻からの、勇人への銀行口座の入金を確認するためだった。
勇人は死んでしまったのだから、どうでもいいようなものだが、事実だけは掌握しておきたかったからだ。入金はなかった。元妻が忘れるはずがない。何らかの理由があって、振り込みをとりやめたのだ。
勇人の死から二週間がたっていた。
ありふれた人身事故だったせいか、新聞やテレビのニュースはもちろん、インターネットのニュースにも載らなかったが、どうやって勇人の死を知ったのだろうか、と思った。
勇人の死を連絡することを口実に、由比の元妻の邸宅にいってみた。大きな門の前に立ち、ドアフォンで呼んだ。
「奥様は外出しておられます」
「待たせてもらっていいですか」
「きょうは、帰りが遅いといっておられました」
口調は柔らかいが、拒否している口調だ。
腕時計を見た。午後三時だった。
私は鉄格子の隙間から広い庭をのぞいてみた。
いかめしい造りの黒塗りのドイツ的な車が置いてあった(たしかベンツという名前の車だ)。運転手らしき人間が、ホースをにぎって、口笛を吹くような感じで、車をゴシゴシと洗っていた。白い手袋をはめていた。たしかに映画でもドラマでも運転手は白い手袋をはめている。それはそうなのだが、たとえそれは洗車のときでもそうなのだ、と妙なことに感心した。運転手は、いかついからだつきをした男だった。
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