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「ストーカーレポート」第2話アキバメイドの悲劇①が始まりました

 小説サイト「NOVEL DAYS」にて、「ストーカーレポート」第2話アキバメイドの悲劇①が始まりました。
 よろしければ続きは、小説サイトでご覧ください。

 私は人間を愛することはできない。抱き締めた瞬間に、その人間は死ぬからだ。私の肉体は猛毒でできている。人間の体が耐えられない。
 私は男でもあり、女でもある。
 男だと私が考えるときは男になり、女だと考えるときは、女になる。
 リバーシブル。裏と表。
 そのとき、私はコンビニの店長だった。そして男だった。

 *

「本当に美しいと男女の性差を越えるんですね」
 休み時間のコンビニの控室で、峰岸勇人が話しかけてきた。私は座って、スマホをいじっていた。
「何の話だ?」
「店長のことです。美しい女性と見まがうほどの美しさです」
 そうだろうな。私は本来は男でも女でもない。
「そうか」
「興味なさそうですね。持っている人は関心がないんですね」
「何の話だ」
「美しい人は、自分が持っている美しさに興味がない」
「いや。人間の美しさには興味がある。美しい人間は好きだ」
「そうですか。そう見えないですけれど。でも不公平ですよね」
「何が?」
「店長のように美しい人間と、おれみたいに美しくない人間がいるのは」
 私は否定の言葉を発しなかった。正直にいおう。勇人は醜い。仕方がないことだ。
「美しい心の人間にも興味がある」
 私はいった。
「そうですか?」
「そうだ」
 勇人の心は美しい。でも私は本人にはいわない。


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緒 真坂 itoguchi masaka
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