エラリー・クイーンの悲劇②更新しました
小説サイト「NOVEL DAYS」にて、「ストーカーレポート」第2話エラリー・クイーンの悲劇②を更新しました。
よろしければ続きは、小説サイトでご覧ください。
図書館の近くに店は狭いが、おいしいパスタを食べさせる店があった。夫婦二人だけで経営している。
昼食時はいつも混んでいるが、きょうは日曜日で、近隣の会社はほとんどが休みだったため、すんなりとテーブルにつくことができた。こんな日はいいことがあるような気がする。
私は、その店のガーリックがたっぷり入ったパスタが好きだった。
ランチは、食後に飲みものがつく。
私は、アイスの黒糖オーレを頼んだ。
「すごい美人ですね」
イッチが私をちらちらと見ながらいった。
「はい?」
「人にいわれませんか?」
美人。私はたしかに美人といわれるが、何の意味もない。
「天使と呼ばれたことがありますよ」
私はわざとらしく微笑していった。
「いいんですか。よく知らない男と気安くランチして?」
「ん? なぜ?」
素朴な疑問すぎる。
「私が危ない男だったらどうするのですか?」
「そのときは、撃退する。問題ない」
イッチは何だかわからないが、大きく嘆息した。
「まあ年齢は不明ですけれど」
「慧眼ですね。その点だけは当たっています」
「へえ。こういっては何ですが、中性的な感じもします。というか、性を感じさせない。性がない」
私はスカートをはいたことがない。
「私のことはどうでもいいのです。さて、本題に入りましょうか」
私はパスタを運んできた店員が立ち去ったところで、イッチの話を遮っていった。
「二日前に、友人がアパートの自宅で殺されました。おれが第一発見者だったのです。約束していたので、いってみると、殺されていました」
イッチは真顔だった。冗談をいっているようには見えなかった。
「頭部を殴られていました。元バンド仲間のシノでした」
本名はシノザキ。べらぼうにうまいベースを弾いていた男である。私は思い出した。
「殺された?」
人間は誰でも死ぬが、殺人は、尋常なことではない。