エラリー・クイーンの悲劇⑨を更新しました
小説サイト「NOVEL DAYS」にて、「ストーカーレポート」第2話エラリー・クイーンの悲劇⑨を更新しました。
よろしければ続きは、小説サイトでご覧ください。
テラスに出ると、蒸気機関車の煙突から吐き出されたような入道雲が青空いっぱいに浮んでいた。利用者の姿はなかったが、私とイッチは、いちばん奥にあったテーブルについた。
「以前にもいいましたが、もし犯人が本当に返却をしたのだったら、自分の指紋を拭き取るし、DNA鑑定のことも広く知られていますから、凶器を捨てるか隠すか、するでしょう。返却しようとは、絶対に思わない」
「仮定の話をしてもしようがないでしょう。実際に返却されて、しかもDNA鑑定の結果、本物の凶器だと証明されたのですから」
「本当に犯人が返却したのでしょうか? 逆にこう考えるのは、どうでしょう? 犯人じゃなかったから、平然と指紋をつけたまま、返却したのだ、と」
「どうして、そんなややこしいことをするんですか?」
「で、犯人の特定はできたのですか?」
私は話を変えた。
「おそらくは、タクです」
イッチの目がみるみる輝き始めた。
「警察署に呼ばれているところを見かけたので、薄々そうではないかな、とは思っていました。警察は任意で、関係者に指紋を取っていたのです。シノのスマホからタクと、その日、会う約束をしたメールが出てきたそうですし、図書館の本からもタクの指紋が検出されたと聞きました」
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