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エラリー・クイーンの悲劇⑧を更新しました

 小説サイト「NOVEL DAYS」にて、「ストーカーレポート」第2話エラリー・クイーンの悲劇⑧を更新しました。
 よろしければ続きは、小説サイトでご覧ください。

「そろそろやってくるころだと思っていました」
 私は椅子からゆっくりと立ち上がると、笑顔でいった。
 イッチは、意外そうな顔つきをした。
「だって、こないだの相互貸借の本、そろそろ返却期限ですからね」
「今日きたのは、じつはそのことなのです。本を取り寄せてもらう前にもいいましたが、その本を借りたのは、シノの事件の犯人が返却したのではないか、と推測したからでした。捜査本部にお願いしてDNA鑑定をしてもらった結果、シノの頭部を殴った凶器だということが証明されました。本に付着したシノの皮膚の一部、そして犯人と思われる指紋が検出されました」
「驚きです」
 私は無感動にいった。「頭の硬い警察が一市民のいうことを信じて、鑑定にまわしてくれるとは」
「おれは第一発見者でしたしね、強引に頼み込みました。というわけで、あの本は重要な証拠品になってしまい、犯人が逮捕され、裁判が終了するまで返却することはできません。のちほど、公的な文書がいくと思います」
「テラスに出ませんか」
 この図書館には二階にテラスがあった。それほど広いテラスではないが、テーブルと椅子が数脚、置いてあった。 
「どうしてですか?」
 イッチは怪訝そうな表情で尋ねた。「おれの話はこれで終りですけれど」
「もうすこしお話をお聞きしたいことがあるのです」
 イッチは思わせぶりに腕時計をのぞいた。


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緒 真坂 itoguchi masaka
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