でも、私の中では、そこは今でもパーラー・イズミの前なのだ
〇月〇日
妻くんと私の実家がある街の店の話をする。
スマホのMAPを見ながら、私が言う。
「その店はパーラー・イズミの前にあるな」
「ん? パーラー・イズミってどこにあるの?」と妻くん。
「あったんだよ、20年前に。今は、何になっているのか知らない」
「……」
ごめん、妻くん。でも、私の中では、そこは今でもパーラー泉の前なのだ。
〇月〇日
個人的な話だが、引間徹さんという作家を知っているだろうか。
「テレフォン・バランス」で、第6回早稲田文学新人賞受賞。「19分25秒」で、第17回すばる文学賞、芥川賞候補。「地下鉄の軍曹」で芥川賞候補。
引間さんが早稲田文学新人賞を受賞したとき、私の「ゴジラの離婚」も最終候補に残っていた。そのときは4作最終候補に残り、結局私の作品だけが受賞できなかった。
昔の話だ。でも引間さんの名前は記憶に残った。その後、すばる文学賞を受賞し、引間さんは順調に世に出ていった。
実のところ、当時、私も新人賞に応募していたのだが、一次、二次予選落ちだった。
その後、私の小説が早稲田文学に掲載されるようになり、新人賞の授賞式を兼ねた忘年会に呼ばれるようになった。私が候補になったとき、受賞した人たちにもお会いした(引間さんの姿はなかったと思う)
現在、どうしているのだろうか。
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